2012年7月31日火曜日

Sageのハンズオンセミナ

学生有志の数名を対象に,Sageのハンズオンセミナを開いてみた.

事前に,Oracle VirtualBox, Microsoft Windows用のSage, その他ドキュメント類(Sage Days in Japanの際の資料や,Sage for newbiesの横田さんによる邦訳)などをDVDに焼いておく.Microsoft Windows上でSageを使うことについては,黒木玄さんの「Windows 7 ユーザーが数式処理ソフト Sage を使い始める方法」の頁も大変参考になるのでよく読んでおく.

最初に,Sageとは何か,と言った座学.15分ほど.preziが使いたかっただけではないのか,などと言ってはいけない.



ラップトップを持ち込んだ人が1名,他は,こちらで用意した少し時代がかったデスクトップ(Pentium 4, Windows XP).

まずVirtualBoxをインストールする.ほぼ問題ない.次いで,Sageの仮想マシンをVirtualBoxに登録する.VirtualBoxを起動すると,左側に白いペインが現れるので,そこにドラッグ&ドロップするだけである.しかし結構待たされる(数分~10分近い).

しばらく待たされた後で,Sageの仮想マシンを起動する.仮想マシン内でブラウザが起動し,Sageのノートブックの画面になる.しかし日本語キーボードが想定されていないなど不都合な点があるのでそれはそのまま置いておき,ホストのWindows側でブラウザを起動して,http://localhost:8000 にアクセスすると,仮想マシン側で実行されているSageのノートブックが見える.ここまでも特に問題なし.

試しにワークシートを一枚アップロードしてみると,IEでjsmathの処理をするのが大変時間がかかる,と言う問題に遭遇した.なので,Windows側にFirefoxやChromeなどを導入しておくべきである.ここまでで約90分.

次の90分は,http://www.sagenb.org/ を使えるようになることを目的とする.以前はユーザ名とパスワードで,すぐに新規アカウントが作成できた.しかし,現在は違うようだ.GoogleなどのOpenIDプロバイダにアカウントがあれば,そちらからログインすることでアカウントが作成されるようになった.

学生の方の何人かがAndroid携帯を持っていて,特に苦労なくそちらにひもづけられたアカウントからsagenbにログインしていた.

今回はSageそのものを使って数学をするという所までは行かなかった(行かないだろうと思っていた).とにかく,ローカルな環境にせよ,sagenbのようなリモート側での環境にしろ,Sageを使えるようになるところまで,実習した.

次回以降(があるのか?)は何かしら具体的な計算をしてみたい.

2012年7月30日月曜日

青い空

午前中に線形代数学の期末試験.

机の間をうろうろとしながら,答案を眺めているとどうも雲行きが怪しい.途中でいくつか補足・ヒントをだし,板書する.

午後はM1ゼミ.途中,雷鳴がとどろき夕立のような雨が降った(何かの比喩ではなく,自然現象として).休憩時間に表に出てみると,雨はもう上がって青空だったが,息が詰まるような湿気であった.

ふとしたことで,レイリー盤について調べた.直径数センチのきわめて薄い(雲母などの)円盤を,これまたきわめて細い(石英などの)糸でつるしたものである.何に使うのかというと,音の大きさを測るのに使う.音源に対して45°の角度で配置して音を発すると,空気の流れにより音源に正対する方向に回転するのだという.その角度の変位を測り,音の大きさの測定を行う.

レイリーというのは,レイリー卿として知られるJohn William Strutt, 3rdであり,なぜ空が青いのかを説明するレイリー散乱とか,線形代数でちらっと取り上げられることもある,エルミート作用素のレイリー商などに名を残す人.多彩かつ深い結果が多いように思った.

2012年7月28日土曜日

土曜も出勤

今日もまた35℃越え.なにをか言わんや.

朝のうちに,アサガオに水遣りをしたりする.緑のカーテンにするつもりだったが,それにしては葉がまばらだ.種類を考えて植えたわけではなく,ここ何年か植えては種を回収しているものをまた植えたのだ.

オリンピックの開会式は,終盤だけ観た.ポール・マッカートニーが "And in the end, the love you take is euqual to the love you make..." と歌い出し,下馬評通り「ヘイ・ジュード」を歌う.

金曜のうちに試験問題の最終稿ができあがらなかったので,昼前から,仕上げと印刷の為に職場へ.結局夕方までかかった.

2012年7月27日金曜日

いろんなかんがえ

今日も今日とて35℃越えでした.

朝方,昨日の「トランジスタ技術」を読んでいると,
「GPLは別名「ソース公開義務の感染」とも呼ばれ,企業では敬遠されています.」(同誌59頁)
とか
「OpenNIはライセンスがGPLv3なので商用/非商用のどちらでも利用できますが,ソフトウェアのバイナリを第3者に公開するのであれば,そのソフトウェアを構成するすべてのソース・ファイルをGPLで公開する義務が発生します.マイクロソフトのKinect for Windows SDKにはそのような制約は存在しませんから,個人で利用するなら断然使いやすいと思います.」(同誌61頁,赤字も)
といった記述があり,いろいろな考えがあるのだなぁと改めて思った.トラ技に限らず,幾つかの技術系の雑誌は,想定されている読者が企業の技術者であり,よってオープンソース,フリーソフトといった考えに色々と留保がつく文章を読むことがおおい.文化の違いを感じるところである.

特に,「個人で利用するなら断然使いやすい」の部分は首をかしげてしまう.

OpenNIは,GPL/LGPLのダブルライセンスのようだ.OpenNIを使った(動的にリンクするプログラム)を第3者に公開するなら,LGPLを選択すればソース公開の義務は免れえると思うのだが,ちがうのだろうか.それに,個人で実験などに利用するだけで,第3者に公開しなければ,ソースを公開する義務など生じない.例えば,オープンソースで行こう!: 第2回 オープンソースライセンス事情を俯瞰する」参照.

月曜日に線形代数の期末試験なので,ぱらぱらと受講者が質問に訪れる.実は問題作りに呻吟しており(計算問題が出しづらいので),いっそのこと,勉強してきたことを自由に書いて下さい,のような出題をしてしまおうかとも思うのだが,採点が大変そうだ…….

2012年7月26日木曜日

ランダムドット

暑さの応える毎日,皆様いかがお過ごしでしょうか.富山は今日も35度を超えたそうです.1ヶ月予報によると,平年並みもしくは高い,確率がどちらも40%だそうな.

子供たちも夏休みに入り,元気をもてあましている.プールに行ったりしているようで,家人が朝方支度をしていた.




大学の生協で,今月いっぱい,裳華房と共立出版の本が15%引きである.ためつすがめつしていたが,結局「トランジスタ技術 2012年 08月号 [雑誌]」を買ってきてしまう.

MicrosoftのKinectの原理を解析し,プロジェクタとUSBカメラで同様のもの,つまり,深度情報を持ったカラー画像をえられるカメラ,を再現するという特集記事が大変に面白い.

プロジェクタから,ランダムドットパターンを投影し,それをUSBカメラで撮影する.元のドットパターンと,カメラで撮影した投影像との自己相関関数を算出する.自己相関関数のピークが得られるのは,元のドットパターンがどれだけずれた所か,が分かると,三角測量の原理で対象までの距離が分かる,という感じである.

ランダムな模様を凝視すると,立体像が見えるという絵が以前流行ったことがあるが,あれも同様の原理だったのではないかと思う.計算するのが灰色の脳味噌になるが.

2012年7月24日火曜日

講義・ゼミ終盤

前期終盤である.月曜2限,火曜1限目の線形代数も今日の演習でおわり.来週期末試験である.昨日までで,実内積空間上の正規作用素が,ブロック対角行列(対角にスカラ―もしくは特定の形の2次行列)の行列表示を持つ,というあたりまで講義した.今日は少しだけ演習問題の解答があり,あとは,普通の(日本語の)教科書での言葉遣いとの連絡をつけた.

今回の教科書,S. Axlerの"Linear Algebra Done Right (Undergraduate Texts in Mathematics)"は,偶々引き継いだのだが,特徴のある面白い教科書だった.twitterにアカウントがあり,それによると第3版を準備中らしい.

午後はB4ゼミ.来週も予定していたが,教員採用試験との兼ね合いなどから今日で前期終了となった.人生最後の夏休みですよ~,と余計なことを言っておく.


2012年7月23日月曜日

Koboがどうも……

電子書籍リーダー楽天Koboで,森博嗣「相田家のグッドバイ Running in the Blood-【電子ブック版】」を読了した.

読む道具としてのKoboは,優良可でいえば可といったところ.不可ではない.上の本を読んでいて2回ほど固まって,再起動した.画面のEinkは上々,視認性も良いし頁を書き換えるときのちらつきも気にならない(普段Kindle DXを使っているから少しバイアスの掛かった意見).

傍線を引くのがぜんぜん思う通りに出来ないのであきらめた.添付のクイックツアーには「文字をタップしたまま長押しすると選択ツールが表示されます」とあるが,そうはならない.しかし私が操作を間違えているのかもしれない.

ハードウェアとしてのKobo評は,まぁまぁこんなものかな,である.

しかし,電子書籍を売るサービスとしての楽天Koboはまったく不可である.なにしろ検索機能が貧弱で,書籍を探すことが非常にやりづらい.

例えば,「小説・文学」というジャンルを選ぶ.並び順「人気順」(がデフォルト)だと,これを書いている時点で,「テルマエ・ロマエ」「ヘルタースケルター」「天地明察 上」という調子.漫画を除く,はどうするのかわからない…….並び順の選択肢は,「評価の高い順」「価格の安い順」「書名(昇・降)」.

サブジャンルで「エッセイ」を選ぶと,現れるのは「Works of Oscar Wilde: 22 Books」,「Kwaidan: Stories and Studies of Strange…」で,では洋書を除いて検索したいと思っても,やり方が不明である…….(洋書ならKindleで買うし,そもそも上のものは著作権が切れていて無料で手に入りそうだ).

講談社現代新書に収録されている本が出てきたので,試しに「講談社現代新書」で検索しても1軒もヒットしない.

これでは,Amazon.co.jpかKindleを投入したらどうなるのだろう,と心配になってしまう.

それはさておき,「相田家のグッドバイ」は良かったです.

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2012年7月22日日曜日

ペンクリニック

朝飯前に,まず公園の草むしりに動員された.前夜からの雨が上がって曇り空,気温が上がらないのでだいぶ楽に出来た.

午前中,用事を始めようかと思ったら,子供が,自転車の補助輪を外せという.外して,しばらく練習につきあう.まだかなり難しいようで,本人も意気消沈して,もう一度戻せと言うのだった.もう少し練習したら大丈夫だよ,となだめる.その後も,近所の子たちと練習したりしているようだった.

SETO大泉店でペンクリニックを開催しているので,出かける.混雑しているので午後一で出直すことになったが,PILOTのペンドクターが,調整な必要な万年筆を観てくれるという催しである.私も,万年筆を一本持ち込んだ.最初のストロークでインクが出ないことが多く,また,ペンの尻から観て時計回りに僅かに回した状態でないと,インクがスムーズに流れ出てこないのである.

ペンドクターがしばらく調整してくれているのを,私は固唾をのんで見守っていた.実際には,紙やすりなどでペン先を研いだり,かみ合わせを指先で調整したり,カミソリのようなものでペンのカットを調整したり,するのである.

最終的に,素晴らしく滑らかな書き味になり,感激した.しかも無償である.

同時に開催されていた,パイロット・セーラー・プラチナの各社の万年筆の書き比べをさせてもらう.後に待っている人がなかったのを幸い,しつこくパイロットのカスタム743で(用意された万年筆用箋の他,自分が普段使っているツバメノートにまで)試し書きをさせてもらった.その場で買って帰りそうになったが,さすがに思いとどまった.

2012年7月21日土曜日

雨と雪

今日から封切りの「おおかこどもの雨と雪」を観てきた.時期的に夏休み映画だが,親御さん向けという気がした.

子供たちは,映画館に行くのが楽しいので,初めのうちはポップコーンを奪い合いながらばりばり食べていた.映画そっちのけである.全体を通して,やはりまだ早かった印象であった.(しかし私としても,アンパンマンの映画などにつきあう気はないのである).


観ようかどうか迷っている方には,お勧めします.これまでの細田映画(「時をかける少女」や「サマーウォーズ」)とは大分趣が違いますが.

作中でははっきり言及されていないが,主人公らが田舎に移ってきてからの描写は,監督の郷里でもある富山県,特に立山山麓をモデルにしているらしい.公式ポスターは弥陀ヶ原をイメージしていて,作中,剱岳や称名滝,みくりが池などの描写があり,またクライマックスで現れる滝は,ハンノキ滝(?)という調子.

主人公たちがよく本を読んでいるのも印象的でした.

2012年7月20日金曜日

Kobo・セミナ・サマーウォーズ

楽天Koboのセットアップは,1台目のPC(ThinkPad X201)にはなぜかうまくいかず,2台目のPC(Dell Inspiron 1520)で成功.なぜかは分からない.夕べは多くの人が設定を試み,サーバが不調に陥っていたという話も聞いた.

Koboは8,000円をきる低価格で発売された電子ブックリーダーである.和書の電子ブックサービスは色々と乱立しているが,世界各地でサービスが稼働しているKoboが日本上陸と言うことで興味があった.

本体は大変軽く,またEinkのディスプレイも大変見やすい.画面をタッチして操作するが,操作性も良好.書籍の品揃えという点では,これは個人の趣味趣向があるが,もう少しがんばってほしい印象である.

今日は昼前から,昨日のセミナのスピーカ氏と落ち合って,より詳細にわたりいろいろとを教えて頂くなどの催し.とても勉強になる.夕方解散.

夜は,子供たちが「サマーウォーズ」を最後まで観たがるのをなだめて,寝かしつけた.おもしろがっているようだが,観ていて意味が分かるのだろうか?

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2012年7月19日木曜日

木曜日はセミナ:相対類数の非可除性

水・木と所用で長距離移動.今日の夕方には,いつものセミナのために金沢に着いていた.

虚2次体の類数の非可除性については,Hartung以来様々な研究があった.特に,1999年になって,定量的な結果を出す方法が発見され一時代を画したといえる. 今回のご講演は,それを総実代数体上のCM2次拡大に拡張した,というもの.大変素晴らしいと思う.

月初めに書いた楽天の電子ブックリーダーKoboが届いているそうで,帰宅したら是非試してみたい.

2012年7月17日火曜日

授業参観

火曜日だが時間割は月曜日.2限目に講義をしていると,大学見学に訪れた高校生の授業参観.事前に連絡は受けていたけどもすっかり忘れていた.

「前回まではC上のnormal operator, もしくはR上のself-adjoint operatorのspectral theoremを見てきたわけですが,今日からはR上の,self-adjointでないnormal operatorについてみていきます……」などといっていた途中から,高校生諸君が数名,そぉっと教室の後ろに入ってくるのである.板書も英語混じりだし(教科書が英語だからしょうがない),ちょっと良くない先入観を与えたのではないかと懸念する.

午後はゼミのはずだったのだが,月曜の時間割ならゼミをするはずの人が,時間割変更を失念しており,火曜の時間割ならゼミをするはずの人は,それをちゃんと覚えていたので,よってゼミが無くなって木村は嬉しかった.

所用を済ませる時間がとれたので,切符の手配をするなど.生協で,「ガウス 数論論文集 (ちくま学芸文庫)」を見つけたので購入.

が,子供の熱が引かないと言うことで,夕方,いつもより1時間ぐらい早く帰路につく.

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2012年7月16日月曜日

猛暑

日中の最高気温が35度を超える猛暑日となりました.ニュースの口まねのようだ.

日中は風があり,クーラーをつけなくても案外なんとかなるのだった.しかし前腕部が紙にくっついてしまい,仕事がしづらい.ハンカチでも敷けば良いのだが,何か抜本策がほしい.
舞子の高帯と言って,帯を,鎖骨とみぞおちの間あたりにきつめにしめると,顔に汗をかかない,らしい.これを真似すれば,前腕部にも汗をかかないだろうか…….しかしネクタイにすらなじめないのに,そんなものを巻けるのか,とも思う.

連休なので百貨店にでも,と話が決まっていたようで,昼から一家で繰り出した.文頭の「なので」の箇所は私には理解できないが,そんなことはたくさんある.

フロアを登ったり降りたりして,しかし私はおおむね書店にいることが出来たので,まぁまぁであった.数学の棚で,「数学ガール」を手にとって行った若者が,友人らしき人と戻ってきて,「πが……」「オイラーが……」「やべぇ~~」などと話していたのが可笑しかった.

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2012年7月15日日曜日

バリカン・プール・夏休み

先日バリカンを導入し,ちょっと子供の髪を刈ってみたりもしていた.のだが,今朝は家人が,より大胆にバリカンを操ったようで,子供の髪がずいぶん短くなっていた.


そして私は,ついに自らにバリカンを当てることになった.躊躇はしたが,思い切ってやり始めてみると,ぼたり,ぼたりと髪が落ちる.家人はそれをみながら,次はここ,そこをもう一度刈れ,という調子で指示を出す.

下のリンクを観ると分かるように,刃先と頭皮までの距離を設定するプラスチック製のアタッチメントが複数ついており,またアタッチメントによっては距離を可変で設定できるのである.なので,長い方からアタッチメントを順に取り替えながら,もみあげや襟足の方を短くしていけば,おおむね簡単に散髪できる.

20分ほどで,なんだか床屋へ行って一月くらい,と言うレベルに達したので終わりにする.やってみれば簡単なことで,洗髪してから改めて検分すると,もう少し深追いしても良かったのではないか,とも思う.しかしそれぐらいが丁度なのだろう.

昼食を済ますと,今度は一家でプールへ出かけた.私は風邪気味で喉が痛いのだが(そして家族もそれぞれ咳をしたりもしているのだが),行くことになっていたようなのでしょうがない.しょうがないならやむを得ない.

子供プールは大人の膝ほどの水深,大きい方のプールも大人のへそ上ぐらいである.ウレタンの塊に掴まらせて押したり引いたりしていたら,私のふくらはぎに大分負荷が掛かった.

夏休みが前倒しになったような日曜日であった.


2012年7月14日土曜日

トトロねぼう

昨晩トトロを見ていたせいか,子供たちはいつになく朝寝していた.私も一緒なので,なんのことはない.

一緒に観ていると,ついいろいろと解説したくなるのである.昔はああやって洗濯していたんだよ~洗濯機とかなかったんだよ.ほら,さつきとめいのうちにはテレビもないみたいじゃない?田植えの時期にはみんなで田んぼに出たんだよ,云々.私の親の世代の話で,直接知ってはいないが,そのへんはぼかすのである.聴いている方も画面に気を取られて,左から右の様子だ.

日中は書き物をしつつ,たまに子供を構ったりしていた.近所の子に毛ずねをしげしげと眺められたり.そんなにめずらしいのだろうか.

夕方になって,気晴らしに書店に出向く.PRMLの薄い本があって,ぱらぱらとめくるなど.RSAやElgamalなど,初等数論に原理を持つ公開鍵暗号が,ひところ,数学が実用に供される例として取り上げられた.最近は機械学習がそういう例になりつつあるのかもしれない.


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2012年7月12日木曜日

ラトルバック

昼過ぎには青空が広がり,同時に大変な蒸し暑さであった.8月までクーラーなしでがんばろうと思っていたのだが,端的に,無理だ,と悟った.

物理学科が開催する今日のセミナーは,主題がラトルバックであったそうだ.


ボートのような形をした木片で,両端におもりがついている(上の動画では亀の形).これが向き合っていたり,背を向け合ったりしているときは何も変わったことはなく,回した方に回転する.しかし,亀がそれぞれ逆を向くと,一方には回転するが,他方に回転させようとするとすぐにがたがたと振動し,逆回転し出すのである.

それだけのことだが,数学的に解釈するのは難しいらしい.

数年前に,ゆで卵を回転させると起き上がるが,条件が揃うと僅かにジャンプする,と言う話もあった.Higgs探しも大変だが,こういう物理もまた大変に難しいようだ.

ぼんやりしているうちに,上掲のセミナーには行きそびれた.残念.

2012年7月11日水曜日

熱風・くろがねの山

朝から熱風が吹き渡り,暑い日になりそうだった.

午前中は所用,午後一で会議があり,それが終わってすぐ,16時からは線形代数の追試(やむを得ず欠席した受講者向けの).合間にメールを書いたりする.

私の居室は,建物の間の渡り廊下(3階部分)の側なので,目を休めに山を眺めるのに好都合だ.深い谷筋にだけまだ雪の白い筋が残るが,他はくろがねの三角錐を連ねたような,大きな山体を表している.

J. Getz, M. Goresky, Hilbert Modular Forms With Coefficients in Intersection Homology and Quadratic Base Change (Progress in Mathematics)が気になって眺めているが,なかなか…….著者らがファイルを公開(PDF)しているようだ.

2012年7月10日火曜日

もののにおい

昨日の続きの線形代数が1限目.実ベクトル空間上の自己随伴作用素のスペクトル定理も証明した.もう少し補足・フォローが必要だと思うが,それは次回以降に.しかし来週の月曜は海の日で,残すところあと3回,うち1回は演習をすることになる.実ベクトル空間上の正規作用素のブロック対角化で終わりそうである.

午後はB4ゼミ.Ireland-Rosenの,素数の個数の評価のあたりを終え,整数環の剰余環に入った.先月は教育実習や採用試験などで,テキスト以外の論説に脱線していたのだった.

夕方,少しだけ自分の考え事.帰路,あちこちから夕餉の気配が漂ってくる.
「市中は物のにほいや夏の月 (凡兆)」
凡兆は金沢の人らしい.

2012年7月9日月曜日

線形代数は難しい

月曜と火曜は線形代数の授業がある(週2コマで,半期4単位の講義).前期も今月いっぱいで,終盤である.

終わりの方になれば,当然お話もそれなりに込み入ってきて,聴いている皆さんにはなかなか難しいのだろうなぁ,と言うぐらいの想像はつく.想像ではなくて,昨日書いたように中間試験などもしているので,それは観測されるわけである.
(今日は複素内積空間でのスペクトル定理などの話だった.ちょうど↓のあたり:



教科書は↑の,S. Axler, Linear Algebra Done Right, UTM, Springerなのである.)

難しいなりに,食らいついてくる気概があればそれは頼もしいかぎりだが,皆がそうだというわけでもない.なにか興味を引き起こす手立てがあれば良いのだが.

そんなときの魔法の言葉は,「ゲーミフィケーション」だろうか(あ,まじめに言っているわけではありません.おふざけです).




素因数分解をゲームに仕立てたものらしい.私はi何とかを持っていないので実物は見たことないですが.線形代数をゲームに仕立ててくれる人はおりませんか.

2012年7月8日日曜日

催し物・採点・arduino

午前中,某催し物へ家族で繰り出す.子供たちは,マジックショーを見たり,ソフトクリームが食べられたりして満足したようだ.口が回るようになってきて大変かしましい.

明日の授業の時に返却できるように,先週の月曜日に実施した中間試験の採点に精を出す.でたらめ・当てずっぽうを書かないように何度か指導したのが効いたのか,1度目の中間試験よりはだいぶ読めるようになっている.しかし今回は計算問題も出したので,過程を追跡するのが手間である.

夕方になって済んだので,気晴らしの散歩がてら,パーツ屋さんへ出向く.1階はパソコンやさん,2階が電子部品を扱っているお店.少し意外なことに,Arduino UnoやEthernet Shield, 「Arduinoをはじめようキット」などの扱いを始めていた.AtmelのAVRマイコンもある.

Arduinoは,オープンソースハードウェアの一つで,AtmelのAVRマイコン(CPUコアに,メモリコントローラ,外部メモリコントローラ,メモリ,外部バスコントローラ,AD/DAなどを一つのLSIにパックしたもの)を,PCとの接続用のUSB端子,外部接続用のピンヘッダなどとともに,6センチ×7センチほどの基板にまとめたものである.

更に,Arduino上で実行されるプログラムは,PC(Microsoft Windows/Apple MacOS X/LinuxなどUnix互換OS)で作成するが,そのための開発環境もフリーソフトウェアとして公開されている.プログラミング言語はC言語に似せてはあるが,メモリ管理などはうまく省いた,易しいものである.

手軽にフィジカルコンピューティング(モータやLEDを駆動したり,可変抵抗・CdSセルなど各種センサから入力を読み取ったり)が出来る環境を作れるので,非常に人気がある.

通販があるからArduinoを手に入れることは簡単だが,実店舗での扱いがあれば手を出してみる人が増えるかもしれない.私もご祝儀で,「Arduino イーサネットシールド」を購入した.Arduinoでネットワーク越しのプログラミングが楽しめるというものである.

2012年7月7日土曜日

匿名の仮面

空梅雨気味だったが,昨晩から今朝にかけて驟雨だった.川縁で寝ているような水音を断続的に聞いた.

渋谷で,アノニマスの仮面をつけた人たちが抗議のゴミ拾い,と,文脈をかなり補わないと意味の分からないニュースが配られていた.アノニマスの仮面,で通るようになったが,あれはガイ・フォークス(Guy Fawkes)という17世紀の反体制活動家のお面である.2006年公開の映画「Vフォー・ヴェンデッタ [Blu-ray]」で知られるようになったのではないかと思う.

映画は上述のように2006年公開.Alan Moore, David Lloyd原作のコミックに基づいて, Wachowski兄弟が……姉弟と書くべきなのかもしれないが……が脚本・制作,監督は James McTeigueである.主演は,V役をHugo Weaving (The Matrix 3部作のAgent Smith),ヒロインはNatalie Portman (LeonやThe Star Wars他)というところである.

主人公のVがつけているお面が上に述べた「アノニマスの仮面」である.Vがこのお面を外すシーンは作中にない.主演と言っても一切顔出しのないという珍しいケースだと思う.

アノニマスに限らず,様々な「反主流・反保守」的な動きで,なぜこの仮面が象徴の1つとされているかについては,興味を持たれた方は調べてみて頂きたい.



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2012年7月6日金曜日

眩い夜空

夕べ金沢から帰った後で,しなれない夜更かしをしてしまい,すこぶる調子が上がらないのであった.さっさと寝床に入れば良いのだが,岡崎京子の「 ヘルタースケルター (Feelコミックス)」など書棚から引っ張り出してしまったのだ.

明日が七夕だということで,夜のニュースでプラネタリウムが取り上げられていた.多摩六都科学館のそれと思われる.五島光学研究所のChiron IIというシステムのようだ(が,webにはChironという前身のシステムしか見つけられなかった).光源がLEDになっていたりするらしい.

プラネタリウムに星々を投影するのには強力な光源が必要になる.なので,実際の夜空の星々の光も,一所に集中させれば眩いほどになるだろうか?瞬く星たちが実は太陽と同様とすれば,あまたある星の光で夜空が眩く輝かないのはなぜだろうか?(オルバースのパラドックスと呼ばれるものを思い起こしつつ).

2012年7月5日木曜日

木曜日はセミナ・相対類数とデータ収集

恒例の,木曜日の金沢でのセミナーは,「円分体の相対類数の仮説とデータ解析について」と題して,相対類数の大規模計算と,それによって得られたデータをどのように加工するか,と言うお話だった.それによって得られた観察も大変興味深くまた不思議なものであった.

数億桁という巨大な整数を扱うので,何気ない処理に工夫が必要になるそうだ.基本的にはUnixのコマンドラインで使うツール,awk, bc, cut, grep, sed, uniq,...をpipeで組み合わせていくのだが,多倍長計算はGMPをコマンドに仕立てて使う,などなど.

PostgreSQLには,GMPを組み込んで多倍長整数,有理数を扱えるようにするプラグインがあるのだが,以前試したときはうまく動かなかった.

講演後,相対類数の行列表示についての春の講演にアップデートがあり,そちらも大変興味深く聴いた.

2012年7月4日水曜日

早々と院入試・Higgsおめでとう

朝一で大学院の入試の面接に出席する.大学4年間では飽き足らず,更に学びたいという人がいるのは喜ばしいかぎりである.

午後からは,月曜日に実施した中間試験の採点をしていた.が,夕方から,CERNのHiggs粒子に関するプレゼンの中継をつけているうちに,次第にそちらに引き込まれてしまった.

専門的な知識は皆無なので(質量はどのように生まれるのか―素粒子物理最大のミステリーに迫る (ブルーバックス)を読んだことがあるくらいで)詳細は分からなかったが,いずれにせよ,長きにわたって探し続けられてきたHiggs粒子の存在がほぼ確定したということで,関係諸賢にはお祝い申し上げる.

おかげで採点はあまり進まず,明日に持ち越しとなった.しかし気分良く帰宅.7時のニュースでもHiggsはトップ扱いだった.子供に,「ぶつりのみんなが探していた,ちっちゃいつぶつぶがみつかったんだよ~」とかいつまんで伝えると,「ふ~ん,おしおみたいなやつ?」という.「もっとちっちゃいんだよ~」とだけ伝えた.

2012年7月3日火曜日

久々のB4セミナ

火曜午後のB4セミナは,久々に全員(3人)が揃っての開催だった.教育実習や採用試験など,メンバが欠けることが多かった.

全員揃わない回には,MAA(The Mathematical Association of America)のWriting Awardsの頁から探して,気軽に読めそうな記事を探しては受講者の人たちに読んで貰ったりしていた. 今日は久々にテキスト(Ireland-Rosen)に戻り,素数の個数についての基本的なこと.

合間に,世界最難度の数独の雑談など. この数独については,Sageで解いてみる例を,Sage embedded blogに掲載した.でもほんとは,こういうパズルを力任せに機械で解いてみたりは,しないものらしい.

2012年7月2日月曜日

楽天Kobo--電子ブックリーダー

日本国内ではなかなか立ち上がらなかった電子ブック市場がようやく大きく動きそう.楽天が,カナダのKoboを買収して半年.7月19日からサービスインらしい.

端末は既に予約ができる.7インチEink端末.7,980円と言う値段は,電子ブックリーダとしては,こんなもの(例えばamazon.comのKindle special offer, つまり広告表示付きのKindleは$79. これも7インチのEink端末).しかしこれから電子書籍に触れる層にはどう映るか?

amazon.comのKindleを,2009年の10月から使っているが(9インチのKindle DX,Android Tablet版, PC版,クラウド版等のソフトと合わせて)既になくてはならない道具である.書店に行かずその場で買えるというのは,それなしだった頃にどうしていたのか思い出せなくなるくらいの体験である.

和書が買えないことについてはそれほど不便も感じなかったが(読むものが偏っているからだ),買えるようになったとなればまた別である.

amazon.co.jpもようやくKindleを日本国内でサービスインするらしい(今月中).楽しみである.