2010年6月8日火曜日

Epigraph of A. Weil, Basic Number Theory

A. WeilのBasic Number Theoryは,修士から博士にかけて,苦労しながら読んだテキストである.書名にBasicとはあるが,代数体と有限体上の1変数代数関数体のゼータ関数,L関数の理論や,類体論までを含む専門的なモノグラフである.

この本で,少し大げさに言えば,唯一読み残していた箇所がある.冒頭のForeword(序文)に付された,エピグラフである.昔から疑問に思っていたのだが,最近の機械翻訳やInternet検索の進展から,おおよその見当を付けることが出来た.

その一部始終を,twitterで呟いていたのを,twilogを経由して保存し,註釈を加えたのが以下のものである.註については,括弧書きにした.

きっかけは,Twitterにおける@SpringerJapanの人気コンテンツ,「今日の数学者」で,M. Zornが取り上げられたことである.Zornといえば,名を冠したレンマで有名だが,E. Artinの弟子であり,数論でも業績がある.以下twilogから.

今日の数学者が帰ってきた :) Zornは彼の有名な「レンマ」でだけ言及されることには,やや不満だったそうな.代数体上の単純多元環のゼータの仕事あり QT @SpringerJapan: 【今日の数学者】6月6日は「ツォルンの補題」で知られるツォルンの誕生日(1906年生)。


posted at 22:30:17


Zornが無くなったのは割と最近で(調べたら,1993/Mar/9),訃報が数セミに載ったのを見て,え?と思った記憶が.証明論が専門の先輩に,Zornのレンマが発見される以前は,例えばベクトル空間の基底の存在なんかはどうやって示してたんでしょう?と尋ねた.解答は忘れました :)


posted at 22:35:09



(註:Zornの仕事については,WeilのBasic Number Theoryでも触れられていたような気がしたのだが,探すと見つけられない…….)

A. Weil, Basic Number Theoryの序文のエピグラフの出典を特定しようと無駄な努力をした.なにしろギリシャ語全然分からないのに.


posted at 23:31:20



(註:Weil自身は,彼の自伝にもあるように,医師である父親がギリシャ語に堪能で,本人もリセ時代から古代ギリシャ語に親しんでいる).

でも,Google Translateを使って,「Αριθμόν, εξοχων σοφισμάτων. Αίσχ. Προμ. Δεσμ. 」が,「Number, super sophists. Shame. Suppliers. Bond.」だと言うことは分かった.


posted at 23:32:13


「Αίσχ. Προμ. Δεσμ. 」で調べると,Aeschylusの http://ow.ly/1UHCM (GBooks)というのが出てくる.でも,「Αριθμόν, εξοχων σοφισμάτων.」という文言は見つからない…….





posted at 23:36:49


杉浦先生訳の「著作集自註」の同書の箇所は,「この本の序文は,どのような事情でこの本が書かれたかを十分説明している.」なのだが,序文のエピグラフの出典についても明かして欲しかった.


posted at 23:44:54


と言うわけで,アイスキュロスの「縛られたプロメテウス」の,459行目「私は彼ら(人間)の為に,数学も創造した.最も重要な科学だ」 http://ow.ly/1UHRD でファイナルアンサー?


posted at 23:51:22



(註:分かってみれば,Weilの序文にも,Προμηθεύς Δεσμώτης / Promētheus Desmōtēs の略記があったのだった).