2009年12月6日日曜日

ケロちゃん


1歳になった長男への誕生日プレゼントに,バムとケロシリーズのケロのぬいぐるみを選んだ.蝶ネクタイは家にあったもの.左手に付けているのも,その辺に転がっていた髪留め用の飾りである.

ケロちゃんのぬいぐるみは実にラブリーで,見ているだけで顔がほころぶ.


2009年11月23日月曜日

立山で初滑り

立山で初滑り(実際に滑ったのは,11/22の日曜日).

例によって朝8時過ぎの電車に乗り,立山室堂に着いたのが10:30過ぎと,押っ取り刀である.

例年よりも雪が少ないが,それでも十分滑れる状態.露岩に気をつける必要はある.

一ノ越に向かう途上,綺麗な斜面が足下に残っていた.我慢できず,シールを外してドロップ.でも全然思ったように滑れない(ちなみに私はテレマークスキーという流派に属する).よろよろしながら下って,もう一度シールを貼って登り出す.

その後,ちょっと気になる斜面を見つけると30分少々登って,またよろよろ滑り降りる,ということを繰り返しているうちに勘が戻ってきた.浄土山から祓い堂の方に伸びる斜面などを滑って,それなりに納得.

更に帰り際,最初に滑った斜面の綺麗なところをもう一度滑って,得心.

15時のバスで下山した.今年は寡雪の予報だが,どうなるだろうか.

2009年11月1日日曜日

立山

久しぶりに立山へ.
冬山装備で望む.

8時に最寄り駅から電車に乗ると,10時半には室堂ターミナルを出発できるのは地の利といえる.快晴.観光客も多い(外国からも).

登山道にも雪が載っているので,室堂山荘を過ぎてしばらく行ったあたりでアイゼンを付ける.祓堂から一ノ越を見ると,既にシュプールが付いていて,一人スキーを履いて降りてくる人がいる.話を聞くと,数日前から山小屋関係者が滑ったりしていたそうだ.その人も宿泊施設勤務とのことだった.




一ノ越に着くと北アルプスの展望が素晴らしい(写真参照).風が少しある.ペットボトルがひゅーとっと音を立てるくらい.雄山には届かないと思ったが,時間の許すかぎり登る.全く静かで,風が耳を打つ音のみ.五の越で13時,時間切れで下山する.




15時発の高原バスで下山,16時過ぎに立山駅で家族と合流した.



2009年10月24日土曜日

Kindleで日本語を表示できた(あくまで絵として)

先日入手したKindleは非常に楽しいおもちゃである.ただ,当初の目論見が外れたのは,PDFを正しく閲覧するのがそれほど簡単ではないということである.この記事では,PDFファイルをKindleで読める形式に変換する方法と,それを多少改良して,日本語を含んだPDFファイルをKindleで読める形式に変換する方法を説明する.

Amazon.comから割り振られたメールアドレスに,Kindleで読みたいPDFファイルを添付書類として送ると,Kindleで読めるファイル形式に変換してくれる.変換されたファイルが,Whispernetで自分のKindleに送り込まれる.ただし1MBあたり$0.99かかる.また,スパム防止のために,amazon.comのKindle専用のページで,PDFファイルを送るアドレスを指定しておく必要がある.

問題は,この変換がかなり機械的なもので,英文の箇所以外はほぼ使い物にならない.図は無視されるようだし,表組みも乱れる.そしてなにより,数式も保たれない.

■PDFを画像にしてしまい,電子ブックとしてKindleに転送
解決法の一つは,PDFを各ページごとの画像にしてしまうことである.実際にこれをやってくれるのが,PDFread 1.8.2である."PDFRead 1.8.2 released!"の,#1の記事の末尾に,ファイルが添付されている.Microsoft Windowsのユーザは, pdfread-1.8.2-Installer.zipをダウンロードし,解凍すると現れるインストーラを起動すればよい.

上記で使えるようになるPDFread 1.8.2 (Windows版)は,GUI形式でパラメタを設定できる.ファイルのフォーマットはprc, profileは prc-mobi-pとしてPDFを変換すると,Kindleで表示できるファイルが出来る.KindleをPCにUSBで接続すれば外付けドライブとして認識される.Kindleのdocumentsというフォルダに,PDFreadの出力ファイルをコピーして接続を解除すると,Home画面で今コピーしたファイルを確認できる.写真が上の手続きの例である:

From Kindle

いうまでもなく,いったん画像に変換してしまっているので,検索などは出来ない.

このPDFread(Windows版)は,GUIで指定されたパラメタからコマンドライン版(pdfread)のオプションを組み立て,このコマンドライン版(実はPythonスクリプト)を起動しているだけである.また,pdfreadを読んでみると,だいたい次の処理をしている:
  • GhostscriptでPDFファイルの各ページををpng画像に変換し,特定の書式のHTMLファイルを生成する
  • 上記のHTMLファイル(とpng画像)から,mobipocket形式のファイルを生成する

■日本語を含むPDFファイルを画像に変換して同じ事をする
つまり,PDFread内で起動されるGhostscriptが日本語を理解するもの(ghostscript-cjkなど)ならば,日本語のPDFファイルからでも,Kindleで読めるファイルが生成できるはずだ.

Windows版でやるなら,PDFreadのインストールされたフォルダ内のgsというフォルダを,日本語対応版のそれ(例えばcygwinに含まれるもの)と入れ替えれば良いのだと思う.実際には試していない.

コマンドライン版のpdfreadが,Windows版のPDFreadがインストールされたフォルダ内のsrcというフォルダに含まれている.あるいは,正式配布場所の「Welcome to PDFRead」からダウンロードできる.これをLinux環境で実行した.幾つか必要なパッケージがある.Ubuntuなら,次のようにして揃えられる:

sudo apt-get install pdftk python-imaging pngnq gs-common djvulibre-bin libtiff-tools unpaper optipng


さらに,gs-cjk-resource他,mapfileのcmap-adobe-japan1や日本語フォントttf-kochi-gothic, ttf-kochi-minchoも必要である.synapticsでインストールすれば良い.

Windows版の時を参考に,コマンドラインを指定する:
  • プロファイル(-p)がprc-mobi,
  • 出力ファイル(-f)prc

がポイント.
$ python ./pdfread.py -p prc-mobi -t "On 2-part of Tame kernel of quadratic fields" -a "Iwao KIMURA" -c "math" -f prc ~/DocMath/HokurikuNT2009May/handout.pdf
(実際には1行で)のようになる.


ただし,私が試したときにはHTMLファイルとpng画像しか生成されなかった.これらのファイルを再びWindows環境に(USBメモリで)移動して,GUI版のPDFreadに同梱のNRhtml2mobiというファイルでmobipocket形式に変換した.これは,mobiperlという,mobipocket形式のファイルを操作するためのperlスクリプト群の一つを,実行形式(exeファイル)に変換したもののようである.

出力結果が,次の写真である:
From Kindle

もう少し工夫の余地があると思うので,追求していくつもりである.

2009年10月23日金曜日

Kindle購入.数式混じりのPDFを表示させたい

amazon.comの電子ブックリーダ,Kindleが,ついに日本でも使えるようになった.

まだ日本語の書籍は手に入らない.英語の本,新聞,雑誌やブログのみ.しかし,日本国内でも,オンラインでこれらコンテンツが購入できる.本体に3G携帯電話が内蔵されていて,コンテンツの購入など必要なときにはネットワークにアクセスできる.通信費用などは,本体価格に転嫁されているので月々の回線使用料などはかからない.

手持ちのPDFファイルを,電子ブック形式に変換してKindleにコピーし,読むことも出来る.問題は,数式やグラフなどが正しく表示されるようにする事である.

これについては明日以降説明を加えることとさせていただき,参考までにPicasaのアルバムを掲載する.

2009年10月19日月曜日

テスタ購入・SanwaデジタルマルチメータPM3

小学生~中学生の頃,ラジオ少年だった.キットを買ってきて半田付けしたり,雑誌記事(「子供の科学」や「初歩のラジオ」)を見て部品を買い集めて組み上げたりしたものだ.田舎町だったが,子供の足で行ける範囲に,そんな品揃えの部品店があったのは幸運だった.

最近になって,またそんな遊びをしてみようと思い立った.ちょっとしたキットと,ブレッドボードを買ってきた.基盤に半田付けしてしまう前にブレッドボードに仮組みして,悦に入っているような段階である.

From Electronics


上は,単にブレッドボードで発光ダイオードを光らせているだけ.下の動画は無安定マルチバイブレータで発光ダイオードを点滅させているのだが,まだブレッドボードの使い方が分かっていなかったので,一番上のVccやGNDの線を使っていない.本来は,「武蔵野電波のブレッドボーダーズ」にあるような,コンパクトな実装があるべき姿と思う.



導通の確認や,抵抗値を読み取るのに,もらい物の古いテスタ,正確にはデジタルマルチメータを使っていた.Kaiseの製品だ.しかし机の上に出しておいたら,子供がいじって壊してしまったようだ.抵抗・電圧などを測るモードで,006Pの積層乾電池に直結してくれたのだ.

新しいものに買い換える口実を作ってくれたので,むしろありがとうという感じ.さっそく,「Sanwa デジタルマルチメーター PM-3」を購入.今までの製品と比べると測定値が安定するのが早いし,値もふらふら変わらないし,嬉しい買い物である.

参考書として,「図解 つくる電子回路 (ブルーバックス)」と,「図解・わかる電子回路―基礎からDOS/V活用まで (ブルーバックス)」を見ている.特に前者は,取り上げる電子回路を「無安定マルチバイブレータ」に絞っている.代わりにイラスト,図版入りの説明が大変詳細,懇切丁寧である.無安定マルチバイブレータの動作原理,定数の決め方,部品のデータシートの見方,基盤への部品の取り付け方,半田付けの仕方,計測器具(ノギス,マルチメータ)の使い方,ユニバーサル基板での実装,ブレッドボードでの実装などが縷々述べられている.テキストというのはこのくらい書き込まなければならないのかと,大変感銘を受けた.

しばらく遊んだら,徐々にマイコン(Arduino)などにも手を出したいと思っている.


2009年10月14日水曜日

代数学II・環

火曜日の代数学IIの2回目.環の定義から.

定義を述べて,解説.さらにいくつか例を挙げる.ここらへんは,「だからどーした」という感想を持たれがちな箇所であるような気がする.零元の一意性などをやっている内に時間切れ.次回,分配法則を使って(-a)×(-b) = ab なんかをやる予定.

前回はオリエンテーションで,講義に入った初回が今回だったのでかなり安全運転.受講生の皆さんには,予習復習をするよう繰り返しお願いしている(そしてそれが出来るテキストを選んだつもり).次第に快適なペースに移行していこう.

2009年10月11日日曜日

そば処おきな

体育の日の連休は,特に遠出することもなくのんびりと過ごす.

天気がよいので,ドライブがてら昼食へ.ミニコミ誌で知った「そば処おきな」へ.しかし地図があまり手がかりにならずうーろうーろ.田んぼで農作業している方に尋ねたりしているうちに,時々看板が目に入るようになる.近づいてはいるのだが?

ようやくたどり着いて,すぐに座れた.田舎屋敷風の作りの建物で,庭もよく手入れされていて風情がある.頂いたのは天ざる.シメジのご飯と,子供用の掛けそば.大変美味しく頂いた.

お店がある場所は少し高台になっていて,東芦見尾根の末端が見えているのではないかと思う.

From そば処おきな

2009年10月9日金曜日

隣町セミナ・Sturmの定理の拡張

折からの台風18号の接近で,開催が危ぶまれていた後期最初のセミナである.しかしスピーカ氏は台風接近前に移動を完了しており,8日午後には天候も回復してきていた. 

テーマは,Sturmの定理を実2次体上のHilbert modular cusp formに拡張しようというものである.楕円保型形式に対する,もともとのJ. Sturmの定理というのは以下のようなものであった:lを奇素数とする.f(x)がウェイトk, レベルNの楕円保型形式で,無限遠点での展開が
f(z) = \sum_{n=0}^{\infty} a(n)q^n, \text{        } \forall\,a(n)\in \mathbf{Z}
なるものとする.すると,kとNで具体的に書ける(lには依らない)ある定数κが存在して,
\text{if } l\mid a(n) \text{ for } \forall n \le \kappa, \text{      then   } l \mid a(n) \text{    }\forall n\in\mathbf{Z}.

この定理は20年程前に発表されていたが,Kohnen-Onoが,虚2次体の類数の非可除性や,有理数体上定義されたCM楕円曲線のTate-Shafarevich群の位数の非可除性を示すのに応用して注目を集めた.ポイントは,虚2次体の類数や,CM楕円曲線のTate-Shafarevich群の位数に密接に関係する量(実はそれらのL関数の特殊値)を係数に持つ半整数ウェイトの楕円保型形式が存在することである.この保型形式に,Sturmの定理を適用する.

虚2次体の類数を,総実代数体上のCM体の相対類数に拡張しようというのは自然な発想で,すると基本的なツールとして,Sturmの定理を,総実代数体上のHilbert保型形式に拡張したものがひつようになる.

スピーカ氏の結果は,総実代数体として実2次体をとれば,Sturmの定理の類似が成り立つ,というものであった.証明の方針は,Sturmのもともとのものではなく,Doi-Ohtaによる,modular曲線のreduction mod lに対するRiemann-Rochを使うものを,Hilbert modular surfaceの場合に適合させるというもの.代数幾何的なセットアップが必要になるので,技術的には非常に込み入ったものになる.大変興味深く拝聴した.

毎回,セミナ終了後に会食していた店が9月いっぱいで閉店していたのが,最後に待っていたサプライズ.有為転変である.

2009年10月7日水曜日

後期の代数学II開始

後期の担当講義,「代数学II」が開始.内容は,環・体・群の初歩.

数年前から,前期の代数学Iが初等数論から代数系の導入くらいまで,後期からいわゆる代数学の講義を始めるようになった.カリキュラムの改訂があってから,この講義を持つのは初めてかもしれない.

初回なので,シラバスに沿って事務的な事柄を確認.導入のためのお話など.前期に学んだ初等数論は,殆どFermat, Euler, Gaussらによって開拓されたんですよ,などと,彼らの肖像をプロジェクタで投影しながら.教科書の演習問題から,√2 + √3 が無理数であることを示せ,というクイズに答えて貰う.

今回の講義,教科書は「代数と数論の基礎 (共立講座21世紀の数学)」.普通のテキストのよりずっと書き込まれた行間のおかげで,受講者諸君の自習・予習がしやすいだろうと期待しているところ.

2009年9月23日水曜日

帰省

9月の連休中は,実家に帰省した.

混雑を見越して,連休に入る前日から,自動車で移動を開始.ドライバが1名しかいないので(私ではありません),初日は前進基地へ一泊.磐越道の阿賀野川PAの対岸に,温泉があるのが以前から気になっており,そこに宿を取った.楽天トラベルを通して,「咲花温泉 翠玉の湯 佐取館」を予約.阿賀野川を間近に望む部屋と温泉を楽しんだ.

2日目は残りの行程,安田PAから米沢へ.全然知らなかったのだが,宿のすぐ側にJR咲花駅(磐越西線)があり,土日祝祭日にはSLが走るのである.チェックアウト後まもなく,午前の便が咲花駅を通過するというので,カメラとビデオを構えて撮影.

3日目は,高畠方面に観光小旅行.浜田広介記念館(娘は,「ないた赤おに (大人になっても忘れたくない いもとようこ名作絵本)」の絵本を買って貰ってご機嫌に)や,高畠ワイナリー(色々と試飲が出来て私がご機嫌に)へ出かけた.

4日目,帰路は1プッシュで富山へ.報道されていたような大混雑は,磐越道,北陸道には影も形もなし.SAやPAに寄りつつ,のんびり帰ってきた.
写真を貼っておきます;




2009年9月18日金曜日

GDocs added Equation editor (LaTeX compat)

Google Docsが,数式エディタを導入した.大まかな解説はこちらを参照(googlesystem.blogspot.com). Google Docsで新規文書の作成を選び,メニューから,Insert→Equationを選択すればよい.試しに,お約束のRiemann zeta関数など: Re(s)>1に対して,

\zeta(s) = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^s} = \prod_{p:\text{ prime}}\left(1-\frac{1}{p^s}\right)^{-1}.


数学関係のblogの中には,数式を綺麗に表示しているものがいくつかあって,大変うらやましく思っていた.多くはwordpressのLaTeX pluginを使っているらしく,Bloggerを使っている身では手が出せなかった.

Google Docsで数式を含んだ文書を作成し,それをBloggerで公開することが出来るようになり大変嬉しい.一通り文章を作成したら,画面右のShareのボタンから,publish as webpageを選択すると,あらかじめ設定しておいたblog serverで公開される.blogで使っているのと同じタグを,元のGoogle Docs文書に付けておくと,blogで公開する際にもそのまま適用される.

いったんdraftとしてblog serverに転送されて,必要なら手を加えることが出来ればもっといいのだが.また,対応しているのは別行立ての数式のみで,インラインに数式を書くことは出来ないようだ.

LaTeX2HTMLというツールが昔からあって,これはLaTeXで書いた文書を,数式部分を画像にしたHTMLに変換してくれるものだ.このHTML(と画像)を,Google Data API経由でBloggerにポストする,というのを以前から試してみたいのだが,誰かやってみませんか.



2009年9月16日水曜日

The $T$ and $T^*$ components of $\Lambda$ - modules and Leopoldt's conjecture. (arXiv:0905.1274v3 [math.NT] UPDATED)

arXivを(Google reader経由で)見ていたら,Leopoldt予想を一般に解決したとするプレプリントを発見した.
著者はCatalan予想を解決したP. Mihailescu. 詳細は後日に譲るとして,とりあえず速報でした.

The $T$ and $T^*$ components of $\Lambda$ - modules and Leopoldt's conjecture. (arXiv:0905.1274v3 [math.NT] UPDATED):

"The conjecture of Leopoldt states that the $p$ - adic regulator of a number field does not vanish. It was proved for the abelian case in 1967 by Brumer, using Baker theory. A conjecture, due to Gross and Kuz'min will be shown here to be in a deeper sense a dual of Leopoldt's conjecture with respect to the Iwasawa involution. We prove both conjectures for arbitrary number fields $\K$.
The main ingredients of the proof are the Leopoldt reflection, the structure of quasi - cyclic $\Z_p[ \Gal(\K/\Q) ]$ - modules of some of the most important $\Lambda[ \Gal(\K/\Q) ]$ - modules occurring ($T$ acts on them like a constant in $\Z_p$), and the Iwasawa skew symmetric pairing."

2009年8月25日火曜日

コクヨのカバーノート

前回紹介した,ツバメノートA5 SECTION NOTE【方眼】 C2016にぴったりなカバーを発見.コクヨのノ-655A-4 カバーノート 2冊収容 A5紺 A罫 40枚であります.A5ノート用のカバーなので,寸法が丁度なのは言うまでもないですが,色使いも紺色で,誂えたかのよう.

From stationary


一緒に写っているペンは,三菱ユニの「三菱鉛筆 ジェットストリーム(0.7m/m)【黒】αゲルグリップ シルバー SXN-1000-07」.このシリーズに特有の,非常に滑らかな書き味が素晴らしい.それだけでなく,軸にしっかりと重みがあり,しかも重心が先端近くにあるので書きやすい.

何でもその場でメモするには,Hipster PDA(5x3カードをダブルクリップで束ねたもの)のような道具が便利.でも,もうちょっと腰を据えて書き物をしたいときには,こういう快適な道具が思考をaffordするように思います.

2009年8月8日土曜日

ツバメノート A5 Section

文具好きなら必ず知っているツバメノートから,割と最近リリースされたのが,この「A5 SECTION NOTE【方眼】 C2016」.気になっていたこのノートを,紀伊國屋書店にて入手.

インディゴブルーにさわやかな白地のエンボスが入った表紙,背を綴じる白のメッシュテープ(寒冷紗)が美しい.中紙は83.5g/m2の中厚,クリーム色の方眼紙.しっかりとした紙の厚みとペンの滑りの良さ,目に優しい色味と邪魔にならない方眼が素晴らしい.万年筆のインクの色を合わせて使いたい感じです.

まだ手に取ったことがない方には是非実物をごらんになるようお勧めします.無地の姉妹品もあり.

2009年7月31日金曜日

隣町セミナ・Scholzの不等式

定例の隣町セミナ.前期はこれで最後である.

金沢に来るとよく立ち寄っていた書店が,明日で閉店である.タッシェンなど洋書がバーゲンされている他は,棚ががらがらになっており哀れを催す.

セミナにはゲストスピーカーの他に,遠来のお客様もあり嬉しい感じ.講演は,2次体のイデアル類群の3部分についてのScholzの不等式に関する構成的なアプローチについてのもの.大変興味深く拝聴した.

虚2次体のイデアル類群の3ランクの大きなものの例はどのくらい知られているか,という話がでて,3ランクが6な例が最大?ということだったのだが,これは後で調査してみよう.

2009年7月26日日曜日

立山浄土山

天候不順で,夏山という雰囲気ではなかったが,久々に山中に身を置きたくなった.

最初は,五色ヶ原で一泊のんびりと思ったが,諸般の事情で日帰りに計画縮小.獅子岳~鬼岳のお花畑を見に行くことにした.

電鉄富山の駅で,タッチの差で電車を一本逃す.次は1時間後で,途方に暮れていたところ,合間に室堂直通バスがあることに気がつく(片道3,000円).室堂を歩き出したのは10時前.ガスが山を隠している.

少し高度を上げると,ガスの中に突入したらしく,視界はないし,雨・風.足下に咲く花々を写真に納めつつ歩く.

浄土山から獅子岳方面に降りていく.富山側から吹き上がってくる風にあおられている内に,こんな天気でがんばってもしょうがない,と思って引き返すことにする.そのまま一ノ越を経由して室堂ターミナルに戻る.約4時間の行動.

帰りも直通バスに乗った.これはお手軽でよい.

写真はpicasawebに掲載してあります:

2009年7月18日土曜日

隣町セミナ・Rabin暗号

恒例の隣町セミナ.今日の話題は暗号,特に公開鍵暗号方式の一つRabin暗号について.

Rabin暗号は,その解読の困難さが,公開鍵の素因数分解と同等であることが証明されている,という意味で,安全性が証明されている.しかし広く普及しているとは言えない.(一方,広く用いられているRSA暗号は,解読の困難さが公開鍵の素因数分解と同等であることは証明されていない.公開鍵を素因数分解すればRSAを破ることはできるが,もしかしたら素因数分解をせずとも解読できるのかもしれない).

Rabin暗号が普及しない1つの理由は,暗号文を平文に復号したときに,平文の候補が4通り出てくる,という欠点のせいかもしれない.しかし,この欠点は,余分に情報を付加するなどして取り除くことができる.今回のお話も,Rabin暗号を一意復号可能に改良することと,計算時間の評価が主題であった.

ただ,暗号(に限らず,いろいろな技術)の普及というのは,本当によいものが普及するのではなく,それまでの状況に大きく左右される.特にインフラと言えるような基盤技術に関してはそうである.というわけで,Rabin暗号の将来が非常に明るいとは,なかなか言えなさそうである.

スピーカの先生の翻訳をリストにしました:

2009年7月15日水曜日

バムとケロ

しばらく前から我が家ではやっている絵本は,島田ゆかの「バムとケロ」のシリーズである.市立図書館で偶然借りてきてから,親子そろってのお気に入り.

ゆったりとしていて,ちょっとひねりのあるストーリーと,なんと言っても細かく書き込まれた絵が面白い.各ページの画面の端々に,小さな文脈があって,それを発見する楽しみがある.一度読んでしまってからも,ストーリーを追う楽しみの他に,画面を隅々まで見つめて,組み込まれた遊びを発見しようとする楽しみがある.

3歳の娘は,「バムとケロのさむいあさ」で,ケロちゃんがお風呂の中でおならをする下りが大好きである.

2009年7月14日火曜日

根体,(最小)分解体,代数閉包

4年生のゼミで,体論の話を聞いていて気がついたというか,思い出したこと.

代数閉包の存在(Steinitz)を示すのは少し議論が必要だが,その前に,多項式が少なくとも一つ根を持つ体(根体)の存在を示す段階がある.これは易しい.

問題は分解体(考えている多項式が一次式の積に分解する体)の存在を示すステップである.代数閉包の存在を既知とすれば,これは当たり前.しかし,代数閉包の存在を示す議論の中に,実は分解体の構成の議論が組み込まれている.

根体の存在から,体を上げれば既約多項式の次数は次第に減っていくのだが,この議論を,文献によっては「帰納法により」と書いていたり,「帰納的に」と書いたりしているので,初学者は混乱するようだ.

分解体の存在を,多項式の次数に関する帰納法で示す場合,帰納法の仮定が何かを注意しておかなくてはならないと思う.Google Booksで検索したら,Birkhoff-MacLaneのAlgebraにはその旨が明確に述べてあった(p. 447, Theorem 4の証明).

2009年7月3日金曜日

隣町セミナ

恒例の隣町セミナ.今回は,慶○大学の博士課程の方の講演.

会場入りの前に時間調整のために立ち寄る書店が,今月一杯で閉店(リンクは北國新聞)との貼紙をみて愕然.市中心部の書店が減って,郊外の大店舗ばかりになっていく傾向が金沢でも如実に伺われる.

講演は,古典的なStickelbergerの定理を広く拡張して,Abel体や総実代数体上AbelなCM体までカバーする結果.大変興味深く拝聴.岩澤主予想が,p部分のχ成分毎に類群を記述するのに対し,Stickelberger型の定理は全体を(実際はp部分だが)大域的に記述していると言う指摘に,なるほど,と思った.

2009年6月19日金曜日

隣町セミナ

恒例の隣町セミナ.今日は国立N大学の(と書いて分かるのは,森博嗣の読者か?)博士課程の方の講演.

判別式が特別な形をしているときの,虚2次体の類数の可除性を論じるもの.大変詳細な議論がなされて,不定方程式の結果を援用して結論に至る.大変興味深く拝聴した.

類数が割れる方の問題は,なんとなく対岸の問題のように昔は思っていたのだが,最近は積極的に興味を持っている.もう少し首を突っ込んでみるつもり.

2009年6月17日水曜日

学生とビアガーデン

今まであまりそう言う機会がなかったのだが,今年度からの新機軸として企画した.すなわちゼミの学生諸君とお酒を飲む.

五月の半ば頃,気温が上がってきていたのでビアガーデンにしよう!と言っていた.のだが,実施日は入梅してから(教育実習の関係もあって).日中の最高気温が20℃前半であり,夕暮れには肌寒いような風が吹く.ビアガーデンは時期尚早でありました.

2時間ほど四方山話をしつつ,自分が彼らほどの年だった頃から,20年近くの時間が流れていることに驚かされました.

2009年6月15日月曜日

劔岳・点の記

映画「劔岳・点の記」を封切り日に見に行ってきました.ご当地映画だけに,全国公開よりも一週間早く上映開始.私が見に行った映画館では,朝一の上映の際に,木村大作監督,主演の浅野忠信,香川照之の舞台挨拶があったそうな.

さて,映画としてどのくらいお勧めできるかというと,やはり万人向けとは言いづらい.山を登る人は楽しめるだろう.劔・立山一帯の地理が分かっているともっと楽しいだろう.ドラマチックと言うよりは,比較的淡々と劔周辺を測量して歩く.どの辺りを歩いているのかを考えながら見ると,一種のロードムービーである.最後に劔本峰に達するところがクライマックスだが,それほど強調されてはいない.(山頂に立って,「エイドリアーン!」と叫んだりはしない).

映画を見た翌日に,「劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))」を読み返した.2時間の尺に納めるのに随分工夫した事が改めて分かった.映画を見て,原作を読むのが良いと思う.そして劔に登るともっといい.

2009年5月22日金曜日

隣町セミナ

定例の隣町セミナ.今回は自分が話す回.

何か新しい結果があるわけではなく,先行研究をちょっとだけ違う観点から見てみたらこんな風ではないか,というお話.お茶を濁すようで恐縮であります.

考えを整理し,今後の方向性を明確にすると言う,個人的なメリットはありました.頂いたコメントに後から思い当たることもあり.

終了後の懇親会,ビールのうまいこと.

2009年5月17日日曜日

天使と悪魔

ダン・ブラウン原作,ロン・ハワード監督作品「天使と悪魔」を封切り初日に鑑賞.

開演時間に飛び込んだものの,箱はがらがら.良い席に座れた.

科学と宗教との確執(歴史的にはガリレオとバチカン,映画の中の現在の時間としては,CERNでの反物質生成とやはりバチカン)というテーマは,作中殆ど深められることはなく,残念.予告殺人とそれを阻止すべくバチカンを駆け回る主人公ら,という構図と,犯人は誰でその意図は?という謎解きとで,頭を使わずに見るべき作品と思いました.(頭を働かせると,反物質が試験管みたいなものに封じ込められて,盗難されるとかいう冒頭部分でついて行けなくなります).

5月いっぱいが有効期限の半額券を消化するために映画館に足を運んだので,まぁこんなものか,という印象.「アポロ13 (ユニバーサル・ザ・ベスト2008年第1弾) [DVD]」や「ビューティフル・マインド [DVD]」は楽しめたけど.ハワード監督の次回作にご期待ください.

2009年5月8日金曜日

教育実習の心得・隣町セミナ

連休明け早々に,朝一からお仕事.小雨の降る中,カッパを着込んで駆けつける.数学の講義ではなく,「教育実習の心得」というお題の,言ってみれば講話である.教育実習の事前指導の一環.何故私が担当したかというのは,私にもうまく説明できない.90分.

終わって,やれやれと思っていると,落ち穂拾いのようなお仕事が降って湧く.

夕方から,定例の隣町セミナへ移動.今回はダブルヘッダ.席上で,平松豊一他「佐藤・テイト予想と数論」を見せて頂く.大変面白そうである.


2009年5月6日水曜日

宇奈月

連休中(5/4-5)に宇奈月温泉一泊.孫の顔を見に来た私の両親と,我が家との総勢6名.温泉を堪能した.

二日目,ここまで来たのだからとトロッコ列車を乗りに行ってみる.しかし,連休中に思いつきで行って乗れるようなものではなかった.切符を買うのに行列し,その切符というのがまた2時間後の列車のそれだったりする.

セレネ美術館が,トロッコ列車の駅のすぐ側にあり,そちらへ行き先変更.新緑を見ながら,カフェでのんびりした.
Posted by Picasa

2009年4月24日金曜日

隣町セミナ・統計思考力

今年度も隣町セミナが開始.

移動の車中では,某文債の返済に励む.LaTeXのpicture環境でこつこつ図を描いたりしているうちにK沢着.ラップトップのバッテリが干上がってしまった.本屋をうろついて,神永正博著「不透明な時代を見抜く「統計思考力」」を購入.著者のblogはこちら

セミナは盛況.大変詳細な分析がされていて,大迫力だった.

帰路,上掲書の始めの一部を読む.データを時系列にしただけでも十分意味のある観察ができること,ジニ係数,データ集めの難しさなど,平易だが知っておくべきことが述べられている.

帰宅は午後十時過ぎ,私の基準では十二分に夜更かし.


2009年4月23日木曜日

村上春樹の新作長編「1Q84」

まだタイトルが明らかになっただけの模様ですが,村上春樹の新作長編「1Q84(1)」,2巻本という噂.(2009/04/24後記:商品へのリンクが切れてしまったので修正.2巻目は「1Q84(2)」).


とりあえずの速報でした.

2009年4月16日木曜日

More Joel on Software

Joel Spolsky著,青木靖訳「More Joel on Software」を読了.

9つの部に分かれている.「第1部 マネジメント」,「第2部 プログラマを目指す人へのアドバイス」,「第3部 デザインの力」,「第4部 大規模プロジェクトの管理」,「第5部 プログラミングのアドバイス」,「第6部 ソフトウェアビジネスを始める」,「第7部 ソフトウェア会社の運営」,「第8部 ソフトウェアのリリース」,「第9部 ソフトウェアの改訂」である.それぞれが数個の章に分かれている.

著者は,「MicrosoftでExcelチームのメンバーとしてVBAをデザインし,Juno Online Servecesでは数百万人が使うインターネットクライアントを開発した」(本書冒頭の「著者について」から)というキャリアを持つプログラマである.現在ではFog Creek Softwareの創業者であり,またweb site Joel on Softwareに,ソフトウェア開発やソフトウェア会社の経営などをテーマとする軽妙なエッセイを掲載する著作家である.

本書は,同web siteに掲載されたエッセイの邦訳.多くを,Joel on Softwareのtranslation projectの日本語訳のページで読むことができる.

饒舌で奔放な語り口は,前著「Joel on Software」にさらに磨きがかかった印象である.大変面白く読んだ.

この業界について,多少の予備知識があった方が楽しめるかもしれないが(たとえばBillGって誰か,とか),そして,プログラムをいくつかの言語で普段から書いているほうがより楽しめるだろうが,しかしとりあえず,上記の日本語訳を読んでみると良いと思う.

職業柄か,第2部の第8章「Javaスクールの危険」,第10章「コンピュータサイエンスの学生へのアドバイス」などが印象に残った.難しいことに取り組むのは重要なのである.

表紙は,HobbesのLeviathanから(リンクはWikipedia).これは本書冒頭の「JoelとApressとブログとブログ本」の末尾に記載あり.しかし,最初のエピグラフは分からなかった.ヘブライ語は読めない…….

2009年4月7日火曜日

MPIR 1.0 (GMP replacement)

GMPからforkしたMPIR」というエントリを書いたのは昨年5月末だった。先月(3月)中旬になって、version 1.0のRC7 (release candidate 7)が公開された。特に他の問題がなければ、これがversion 1.0になる予定とのこと。プロジェクトのウェブページMPIR から入手できる。

version 0.9までは、何もしなくてもGMPのヘッダファイルやライブラリファイルの名前でシンボリックリンクを張ってくれた(つまり、gmp.h -> mpir.h や libgmp.so -> libmpir.so といったリンク)。しかし上記のRCでは、configureの際に明示的に指定する必要がある(./configure --enable-gmplink)。また、C++用のインターフェースを作成するにも、明示的な指定が必要である(./configure --enable-cxx)。

まだ詳細なベンチマークなどは取っていない。大まかに試した範囲では、Intelの最近のCPU (Core2, Core i7)上で64bit OSを使っていれば、パフォーマンスはGMPに比べて、2倍から3倍向上するようである。

私が試したのは、Intel Core i7 940 (2.93GHz)上のUbuntu Linux (64bit)である。MPIRのAPIは、GMPと同等のようである。GMP4系列とMPIR 1.0は、バイナリレベルで上位互換の関係とドキュメントに記載がある(2.3 Notes for Package Builds)。簡単に試してみることが出来る。

2009年3月6日金曜日

(10+2)*5 = (8+2)*6

Lifehacker.jpの記事「仕事のリズムを刻んでくれる『Procrastination Killer』(無料)」を見て,そこから更に引用されている,「Procrastination hack: '(10+2)*5'」を確認.以前読んだかもしれないが,あまり記憶が定かではない.

つまり,機械的な作業で済むが何故か先送りにしがちなことを,
  • 10分作業
  • 2分休む
  • 5回繰り返す
の1時間を1セットとしてどんどんこなせ,という話である.このとき必要なのは,機械的にどんどんこなせるように仕事を書き出したメモと,なによりタイマである.

パソコンに向かってする作業なら,そう言ったソフトがいろいろある.冒頭でリンクしたLifehackerの記事は,そのようなタイマソフトの紹介.Gnome(Linux等で広く使われているデスクトップ環境)上では,私はパネルに追加できるtimer-applet(2.0.1)を使っている.ただ,10分+2分を5セットではなく,8分+2分を6セットにしている.

机に向かって処理していく仕事の場合は,物体としてのタイマが便利である.以前は携帯電話の機能で代用していたが,上のように,二つの設定を順次繰り返すという使い方にはあまり馴染まなかった.

先日入手して以来便利に使っているのが,「カシオ CASIO TMR-71-7JH」.4通りのタイマの設定が出来,勿論時計としての機能もあり,磁石で貼り付けることも,スタンドで自立させることも出来る.

時計が表示されているときに,日付も出ればいいとか,音色が些か簡素すぎる(圧電ブザー音)とか,多少注文を付けたいところもあるが,必要にして十分な機能を持っていると思う.

と,blogに投稿している暇に,どんどんこなさなければならない仕事があるのだけども.

2009年3月5日木曜日

disaster recovery / Dropbox

パソコンのファイルのバックアップは機械的にとるようにしてきたつもりだった。常用しているラップトップには、Acronis TrueImage(使っているのは、TrueImage 10だが、最近手に入れやすいのはAcronis True Image Personal 2 (説明扉付スリムパッケージ版)の模様)を入れて、週一で、ディスク全体のインクリメンタルバックアップを外付けHDD(Logitec USB 2.0外付型HDDユニット 500GB LHD-ED500U2のシリーズ)に取っている。CVSサーバにしているデスクトップPCのCVSROOTは、同じPCの別のディスクに、週一で同期している。

これらは、ダウンタイムの軽減(ディスク全体のバックアップ)か、消えて困るデータの保管場所の冗長化かであり、つまりハードディスク障害を見越した対応である。

さてしかし、この体制で、ハードディスクとバックアップ先を同時に失った場合何が起きるだろうか?単純に大災害が起きる。データを失い、復旧する手立てはない。火災や大地震、あるいは盗難など、そういう事態に陥る可能性を無視すべきではない。

遠隔地にデータをバックアップする簡単な、手間のかからない方法がないと思い、従来は目をつぶってきた。しかし最近、使い勝手のいいオンラインストレージのサービスがいくつか普及してきている。今回はDropboxを使うことにした。

既に昨年後半から、日本語での解説記事がいくつかのメディアで報じられている:
Dropboxのページから専用のクライアントソフトをダウンロードしインストール。起動してアカウントを作成。これで、2GBまでのディスク領域がオンラインに確保され、Windowsからは単なるフォルダに見える(デフォルトでは、\My Documents\My Dropboxというフォルダ)。

そこにバックアップしたいファイルをどんどんコピーすれば、オンライン側のストレージに同期される。変更した場合は、差分のみが転送される。保存できるファイルの種類に制限はない。便利なのは、他のマシンにDropboxの専用クライアントソフトをインストールすれば、そのマシンの当該フォルダがそっくり同じ内容に同期されること。また、編集情報も保持されるので、以前のバージョンを取り出すことも出来る。専用クライアントは、Microsoft Windows, Apple MacOS X, Linux向けが用意されている。ネットワークにつながっていない状態でも、転送が終了しているデータについては、通常通りアクセスできる。

一方難点としては、常にデータ全体が複製されること。アクセスした時点で初めてサーバからの転送を開始するといった挙動はしない。例えば、全体で500MBのファイルをDropboxに保持していれば、すべてのマシンに同じデータが同期される。この点を改良したZumoDriveというサービスも人気があるようだ。

自分の管理外にデータを預ける際は、データの暗号化も考えるべきである。Lifehackerの記事(の日本語版)「のぞき見されたくないデータを暗号化する方法」の後半に、opensslをつかった暗号化が紹介されている。Dropboxが対応しているOSいずれでも使える方法として(Microsoft Windowsには当然cygwinを導入済みと仮定)、こちらを推奨する。

自明なことだが、「起き得ることは起き得る」。そのときに頭を抱えるより、今出来ることをしておきたい。

2009年2月19日木曜日

Dell Inspiron 1520のメモリ増設

自宅でメインに使っているラップトップ、Dell Inspiron 1520のメモリを増設。従来は購入時に指定した2GB(1GB x 2)だったが、やはりVMware playerとGoogle Chromeを併用しているとメモリ不足を感じる(HDDへのスラッシングが頻発)。OSはWindows Vista Home premium.

メモリの値段は、ちょっとどうかと思うぐらい安くなっている。今回は、BUFFALO ノートPC用増設メモリ PC2-5300(DDR2-667) 2GB MV-D2/N667-2G(こちらは廃盤になったようだが,BUFFALO DDR2 667MHz SDRAM(PC2-5300) 200pin SO-DIMM 2GB D2/N667-2G が後継製品のようだ)を2点購入。近所のPCショップでは、ノーブランドで3,000円前後の価格が付いていた。

まず本体からすべてのケーブル類を外す。電源アダプタのほか、ネットワーク、USBなど。更にバッテリを外す。静電気対策で、窓のサッシなど触れておく(これは作業中随時)。

本体裏面のメモリスロットは、ネジ一本でアクセス可能。問題なし。
From Dell Inspiron 1520 memory enhance

From Dell Inspiron 1520 memory enhance


次はキーボード裏のメモリスロットにアクセス。液晶パネルを一番奥まで倒す。
From Dell Inspiron 1520 memory enhance


ヒンジ下のプラスチックパネルを外す。
From Dell Inspiron 1520 memory enhance


From Dell Inspiron 1520 memory enhance


ネジ二本を外して、キーボードをめくる。本体から取り外す必要はない。
From Dell Inspiron 1520 memory enhance


メモリの保護パネルも簡単に外せる。
From Dell Inspiron 1520 memory enhance


From Dell Inspiron 1520 memory enhance


メモリを交換後、BIOSチェックがすこし時間がかかる。どきどきして待つ。
From Dell Inspiron 1520 memory enhance


無事換装完了。4GBに増設され、dual channelになっている。
From Dell Inspiron 1520 memory enhance


以下に上記写真のアルバムを掲載します。キャプションに作業中のメモを記入してあります。



使用できるのは以下のメモリ:


もともとの記事で使用していたこちらの製品は廃盤になったよう.

2009年2月13日金曜日

隣町セミナ

定例の隣町セミナは終了しているが、ゲストをお招きしての特別開催。首都圏某大のM2の方が2名、修士論文の内容を報告してくださった。楕円曲線の等分多項式の係数に関する観察と、有限体上の楕円曲線の有理点の群の構造についての観察。大変面白く聴講した。

同じ日の午前中に、勤務先の大学院二次募集の筆記試験があったのは思いがけない符合。

セミナ終了後は、いつも行くお店で懇談。日中は春の陽気だったが、夕方から冷え込んで、寒風が吹きすさんでいた。四方山話の中で、G. Shimura, Map of My Lifeが話題になる。Gouveaの書評がオンラインで読めます。末尾にちょっとしたひねりがあってにやりとさせられます。

帰りのバスの車中では、加藤先生の「フェルマーの最終定理・佐藤‐テイト予想解決への道 (類体論と非可換類体論)」も少し話題に。同書では技術的な詳細には立ち入らず、理論のアウトラインを示している。全4巻のシリーズである。岩波書店の当該シリーズのページはこちら




2009年1月29日木曜日

数値解析学:ODEの数値解法の実装

水曜日の数値解析学、今回はEuler法やRunge-Kutta法のC言語での実装を目標に、パソコンの並んだ部屋で実施。

単に数値を並べるだけではつまらないので、gnuplotでグラフを表示し、それをEPSに保存してLaTeXの文書に貼り付けるというところまでやってもらうことにした。

すらすらと出来てしまう人も居るし、要所要所で手助けすれば出来る人も居るし、難しいと思う人もいるし、いろいろである。短時間で完遂しなくてもいいので、とにかくゴールに達すればよい。

コンピュータで計算し、グラフで可視化し、文書を作成するというスキルを身につけて欲しいと思う。プレゼンを貼り付けておく↓(Google Docs)

2009年1月28日水曜日

ゼミ終了

4年生のゼミは今週で最終回。代数体の整数環や整数底、判別式など導入した時点で終了であった。半端な印象が残るが、参加者の状況でやむを得ない。

概念を積み上げることで数学的な対象を構築するという事に、大きな困難を覚える人が居るということを思い出させられた、と総括したい。そのほか思うことが多々あるが、ここで喧伝することでもないだろう。

既に、次年度のゼミの募集が始まっている。次のゼミの運営に生かしたいと思う。

2009年1月24日土曜日

人間ドック

年に一度は受診するよう心がけている人間ドック、今年度は夏休みに時間がとれず、今頃(1/23)に受診した。前回とは病院が違い、そもそもどうやってそこまで行くのかを考える。私鉄の駅から歩いて10分前後と見込んだが、指定された時間に丁度良い電車を逃してしまった。結局バスとタクシーを併用して到着。

シリンジに4本も血を抜かれたり、様々型どおりの検査を受けたりして、本題のバリウム検査。私は今回が初めてなのである。なんでも初めてというのはあるが、技師さんはそんなことに頓着しない。発泡剤と水の入ったお猪口のようなものを私に手渡し、どうぞという。どうすればいいのか分からない。粉薬を飲む際は、水を含み、その上に薬を浮かべるようにしてから同時に飲み下すのが私の流儀である。戸惑っていると、発泡剤を口に入れ、水で流し込めという。言われたとおりにして、目を白黒させる私。更にバリウムを二口飲めというのに従う。飲み残しの量を見て、もう一口飲めという。苦しい。

後は、ご存知の方はご存知の、ぐるぐる動く板の上での床運動である。済んだ後で洗面台に案内され、自分の顔を見ると、口の周りに白い後が多々残り大変見苦しいのであった。

昼食をあてがわれて渇を癒し、しばらくして医師による結果の説明。特に異常はなく、最後に「人間ドックを受診しようとした理由は?」のような質問までされた。自覚のある異常がないから来たので、あるなら外来へ行くだろう。と思ったが、「年に一度は受診するよう心がけている」旨申し述べたのである。

2009年1月22日木曜日

水曜日の授業:数値解析学

数値積分を終わり、今度は常微分方程式。Euler法、Heun法(ホイン)、Runge-Kutta法をさらさらと解説。局所誤差については話しそびれて、次回へ持ち越し。次回は、実装をやろうと思う。

常微分方程式の数値解法では定番のRunge-Kutta法、最初の人は、Carl David Tolmé Rungeというドイツの数学者で、ワイエルシュトラウスの弟子だったという(1856--1927, リンクはwikipedia.org). Lagrangeの補間多項式(に限らず、等間隔のサンプル点での多項式補間)が、端のほうで行儀悪く振舞うというRungeの現象も、この人を指す。

2009年1月15日木曜日

Hardy Wright 6th edition

普通Hardy-Wrightとして言及される「An Introduction to the Theory of Numbers」の第6版を購入.折からの雪の中を,注文の翌日に届けるAmazon.co.jpとペリカンは偉い.

Hardyは勿論,Wright(リンクはWikipedia)も数年前に逝去している.新たな編集者として,J. Silvermanと,R. Heath-Brownがこの版を起こした.序文はA. Wilesで,学生時代に本書とDavenportのHigher Arithmeticに心酔した旨が述べられている.

本の構成で一番大きな変化は,25章「楕円曲線」が加わっていることである.どちらかというと鄙びた印象のこれまでの版に,突如モダンな部分が現れて,あるいは賛否があるかもしれない.それ以外にも,章末のNoteには相当数の更新が行われている.2次体の章の末尾に,Cohen-Lenstra予想への言及があるのを見つけた.

私自身は全体を通読していないが,拾い読みをしていても楽しい.標準的な数論のテキストとは違う,バラエティ豊かな本である.そういえば,はじめの幾つかの章を洋書購読の授業で読んだこともあった.

本書第5版に基づいた邦訳「数論入門〈1〉 (シュプリンガー数学クラシックス)」,「数論入門〈2〉 (シュプリンガー数学クラシックス)」があり,人気が高いようである.6版の邦訳はでるだろうか.

冗談半分で予言を書いておこう.第7版で26章「保型形式」が加わり,第8版で27章「Galois表現」が加わり,第9版で28章「Langlands予想」が加わり……そのころには予想ではないかもしれないが.