2013年11月14日木曜日

木曜日はセミナ

快晴の青空.とおく立山が白く輝いている.

某編集作業が滞っているのに取り組みつつ,ここしばらく進めている数値計算のプログラムも気になってしまう.Cで書いたものの結果を検算すべく,Pythonで数行のものを書くと,生産性の違いに驚いてしまう.検算だけではなくて,本番の計算もPythonで(Sageで)やってしまえばよいのでは,とも思う.

遅めの昼食をはさんで,午後もそういった作業の他に,書類仕事などもある.

金沢でのセミナに向かうべく,パソコンを畳もうとすると,ナントカアップデートが始まってしまうのだった.しばし見守っていたが終わらず,書類を出しに行って戻ってきても,まだやっている.パソコンを持って行かないわけにもいかない事情があり,じっと見守っている間に,高速バスには間に合わなくなってしまった.結局,電車で金沢へ向かう.

電車が富山駅を出て,パソコンを立ち上げてみると,更新プログラムをインストール中です,と言って,またなにやら考え込むではないか.正気に戻ったのが高岡駅に着いた頃,そしてVMWareを起動してUbuntuの画面が出てきたら,もう金沢に着いてしまった.

セミナでは,CM体のunit indexについてのご講演を拝聴.

帰路ではパソコンを立ち上げることなく,白河夜船であった.

2013年11月6日水曜日

いろいろと

朝方,風はあるが暖かい日射しの下を出勤.午前中は,他大学から貸借した本のコピーをとってから図書館へ返却に行ったり,来客対応したりして終了.

昼食を挟んで,午後一で会議.出席メンバの半数は,引き続き別の会議があるので丁度1時間で終了した.

私は引き続き,M2ゼミ.簡単な計算をpari-gpでやってみる.小さなプロジェクタを持ってきて,壁にパソコンの画面を映しながら数値計算し,ときどき,今何を計算しているのかを黒板で確認しながら進める.案外思ったようにはいかないこともあって難航する.

秋田大学の来春開設予定の新学部が,文科省の認可を通ったとの報道があった
国際資源学部は現在の工学資源学部の資源分野と教育文化学部の国際分野を集約。
工学資源学部は理工学部に改組され、医学部、教育文化学部と合わせた4学部体制となる。 
ということで,学部再編という事のようだ.別の報道では

国際資源学部の新設は、文部科学省が特色ある教育をめざす国立大学に重点的に予算配分する「国立大学改革強化推進事業」の14事業の一つ。 
なんというか,いろいろと大変である.

2013年11月3日日曜日

こども御輿

毎年恒例,こども御輿.去年はここ,一昨年はここ.町内の子供らを集めて,神輿を担いでわっしょいわっしょいやるのである.(実際に御神輿を担ぐのは,大人だ.案外重いのだ).

寒かったり,雨が降ったりすることが多かったのだが,今年は汗ばむような陽気だった.

昼過ぎまでかかって,町内を一巡.終わってからは,先に子供らが会館で昼食.その間,パパ連中はおもてでビール片手に雑談である.その後,打ち上げ,更に撤収作業がある.

そんなことをしていたら,前々から楽しみにしていた,文具店でのペンクリニック(万年筆の無償調整)に行きそびれてしまった.何ヶ月も前から楽しみにしていたのだが…….



2013年10月31日木曜日

木曜はセミナ

午後には終わるはずだった書き物が終わらず,出かける刻限もせまり,とにかく終わらせる.鼻が長い獣が卵を産むとかどうとか言う,荒唐無稽なやつである(かなり内輪受け).

遅参確定だったが,とにかく列車に乗って金沢へ.二面体拡大でも,高次類数公式( $L$ 関数の負の整数点での値で,コホモロジー群の位数を記述する公式)が成立する,というお話.大変興味深く拝聴した.

会食の後,いつもどおりバスに乗って帰宅.

2013年10月30日水曜日

正義の味方

午前中は,ちょっとした書き物のデバッグをしたり,来客対応をしたり.

昼食を挟んで、午後はまるごと会議.世界の平和を守る正義の味方だけど,正体は明かしてはならない,という類のお仕事だ(そうか?)

書類に,家人の生年月日を書かなくてはならなかったのだが,生まれ年が分からなくなってしまった.どっちだっけ,と迷った2つの年号のうち,一方をえいやと書いて提出してしまう.帰宅後に確認したら,間違っていた.ひとつ若いと思っていたんだから,勘弁していただきたい.

2013年10月29日火曜日

端折り過ぎ

1限目線形代数.置換の符号,行列式の話をした.置換というのはあみだくじなので,どんなにファンシーなあみだくじを書いても,縦棒が $n$ 本ならあみだくじは本質的に $n!$ 個しかない,という話をした.

2限目は大学院代数学.前回Galoisの基本定理を述べたので,一応,証明する.参考書として挙げているテキストの証明はちょっと端折り過ぎなので,困ってしまった.別の本を参考にしてノートを作ってはあったが,つぎはぎ感が残る説明になってしまった.

昼を挟んで,午後はM1ゼミ.Ireland-Rosenで代数的整数論の基礎事項.イデアル類が有限個しかないこと,素イデアル分解など.Hurwitzによるもので,分数イデアルを持ちださずに済ませる議論.

夕方は書き物を進めようとするが,意気上がらず.

2013年10月25日金曜日

夕凪

雨の朝.一番で会議なので市電に揺られていくが,架線停電とかで途中で降ろされてしまう.バスに乗り換えて,少し遅刻して到着.

昼食を挟んで来客対応.少しおいて,また別の会議.

合間にちょっと文献をながめたり,メールで何事か調整したりする.



こうの史代の「夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)」が安くなっていたので,帰りの市電の中で読む.さすがに涙をこぼすまでは行かなかったが,しきりに瞬きをしてそれに耐える必要があった.雨降りでぎゅうぎゅう詰めの車内で,近くの人はいぶかしんでいたようである.

2013年10月24日木曜日

しばしじっと

雨の日は市電が混む.出勤するや,ちょっとおどろきの事態が出来した.しばしじっと考える.思いがけない出来事からも,学ぶべき事は学ぼう.

学内某所で書き物をして,昼食.頂き物のコーヒーを淹れる.

コップの上に立てて淹れるドリップコーヒーではなく,不織布の四角錐に,挽いた豆の粉が入っているものである.ティーバッグだとよくあるが,コーヒーである.

最初に僅かにお湯を注いで,20から30秒蒸らすのだが,その時点で別のことに気をとられて10分ほど放置してしまった.

思い出してから,お湯を注いで,バッグを上下する.ティーバッグのようには沈まず,むしろお湯に浮いてしまう.なので,ティーバッグなら糸の部分が,こちらは厚紙のような素材になっていて,お湯に沈めやすいようになっている.

しかしやはり,薄めに入ってしまうようだ.そういうものだと思えば,これはこれでおいしい.

午後も,書き物と,メールのやりとりでの打ち合わせ,そして顔を合わせての打ち合わせ,と平穏に過ぎていくのだった.

ここ数日,行き帰りの電車で読んでいた,岡田尊司「うつと気分障害」を読了.実際に読んでいたのは,Sony Reader版.いわゆる「うつ」だけではなく,双極性障害も含めて,気分障害全般について,わりとテクニカルなこと(原因や治療,投薬について)まで説明されている.

精神医学関係の本を読み出したのは高校生の頃である.ある種の疾患にかかった患者は,その病識がない(自分がその病気にかかっているとは思っていない)という半端な知識を仕入れた.と言うことは,先回りして色々な症状を知っておけば,自分がその病気に万が一かかったとしても,自ら診断することで病識を得て,よって対偶により,その種の病気には罹患しない,と結論したからである.



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2013年10月23日水曜日

静かな

明け方に目が覚めて,夕べ早寝したし,起きるか,と階下でコーヒーを淹れる.その最中,早寝しようとは思ったが,実際には「喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima (講談社文庫)」を読み返してしまい(私の書棚にあるのは単行本だが),就寝したのは遅かったことを思い出す.

そのまま作文仕事を始めて,朝食の後,ゆっくりと出勤.メール仕事をしたりして,昼食をはさみ,ついで会議へ赴く.3時間ほど.

学内某所で沈潜しようとするが,眠気もあって進捗は芳しくない.しかし書類がかってに完成することもないので,ぽちぽちと文字を埋めていく.


上述の「喜嶋先生の……」は,未読の方には強くお勧めしたい.元になった短編「シキマ先生の静かな世界」は,短編集「まどろみ消去 MISSING UNDER THE MISTLETOE (講談社文庫)」に収められている.



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2013年10月22日火曜日

フル稼働

火曜日はフル稼働の日.1限目は1年生の線型代数.平面と空間の合同変換を導入し,それが平行移動と直交変換の合成である事などをテキストに即して説明.さらっと切り上げるつもりだったが,思ったより伸びてしまい,行列式の章に入るも,置換を定義して幾つか基本的な事項を述べて終了した.置換が2行の行列のようにも見えるが,置換の積は行列のそれとは無関係である事を注意しそびれた.

2限目は大学院生向けの代数学.ガロアの基本定理を述べて,「おめでとうございます」と受講生諸君を祝福した.科学史上のマイルストーンであり,初めてこの定理を学んだ人は,お赤飯を炊いて祝うべきである.次回以降,無限次の場合,分離代数の場合などを扱う予定.

弁当を買いに生協の売店に行く.稀に見る人口密度に仰天した.食堂が工事のため今年度一杯閉鎖しているのだが,その影響がこんなに顕著にあらわれているとは.

午後はM1ゼミ.Ireland-Rosenで,代数的整数論の出だしのあたりを読んでもらう.古色蒼然という感じもないでもないが,基礎は大事である.

センター入試を廃止して,在学中に複数回受験できる「達成度テスト」に切り替えるといった報道がなされていたが,実施の際の体制がどうなるのか気になる.大学入試センターと大手予備校あたりで,うまいこと実施していただきたいところである.1点刻みの選抜にならないよう,という点が強調されていることだし,おおらかにやれば良いと思う.

2013年10月20日日曜日

善男善女

午前中は,子供関係の催し物.雨脚の強い中を出かける.世の善男善女をながめるよい機会である.

催し物で入手してきた,焼ソバだの菓子パンだので昼食にする.炭水化物取り過ぎだなぁと気にしつつ,小学校の低学年の頃,ジャムの小袋に書いてある成分表示の一部を「すみみずばけもの」と読んだ同級生のことを思い出して,家族に話してみた.「それは前にも聞いた」とのことだった.彼もいまでは善男善女の1人として世の中を担ってくれているのだろう.

午後は昨日の続きを,同じペライア演奏の「バッハ:パルティータ第2番、第3番、第4番」を聴きながら進める.いろいろと割り込みがかかるのだがそれはやむを得ない.



バッハ:パルティータ第2番、第3番、第4番
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2013年10月19日土曜日

明るく暖かく

そういえば久しく庭をみてないな,と思ってながめてみる.子供らがほじくり返し,勝手の土間にはドングリがばらまかれ,立木には威勢がない.葉が色づき始めているように見える.

先日触れたのとは別の,やはりよその図書館から借りた資料を読んでしまおうと取り組む.論文集のうちの1編で長いものではない.レベル1の楕円モジュラ形式の空間に作用するHecke作用素の特性多項式の既約性と,Hecke固有形式の $L$ 関数の中心値の非消滅に関するもの.

合間に,吾妻ひでおの「失踪日記2 アル中病棟」を読む.見知らぬ世界の記述が面白いという以上に,作者の視点が大変興味深い.BGMは,ペライア演奏の「Bach: Partitas Nos 1 5 & 6」である.ペライアの演奏は,メカニカルな正確さや,斬新な解釈といったものをあまり感じさせない一方で,明るく暖かく,楽しい気分にさせてくれる.しかし,吾妻ひでおとペライアとは,妙な取り合わせである.


失踪日記2 アル中病棟
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2013年10月17日木曜日

木曜日はセミナ

台風が過ぎて青空.地域によっては甚大な被害を被ったところもあり,お見舞い申し上げます.

市電に揺られて出勤し,午前中は学内某所に沈殿して,よその大学から相互貸借で取り寄せた本を読む.体上の有限次元可換代数を分解するアルゴリズムなど.環論力が問われる…….

昼食をはさんで,幾つか事務作業,講義の際の小テストチェックなど.12月の研究集会のアブストラクト集が公開されたと言うことで,改めて確認もした.

夕方から,金沢での定例のセミナに出席するべく移動.移動前になって,いろいろな機器の電池が干上がりかけていることに気がつく.しかし,バスが新鋭車両だったようで,なんと座席ごとにコンセントがついている.

講演を聴講して,巨大整数の計算に圧倒される.打ち合わせを経て,再びバスに揺られて帰宅.

月明かり煌々の夜だった.




2013年9月29日日曜日

公園で半日・LEDの換装

富岩運河環水記念公園で催し物があるというので,出かける.県内のおいしいものを供する屋台が出るという.

子供らはかき氷(?)とか,ご当地もののソフトクリームとかを舐めて喜んでいた.大人はあまり食指も動かないので,子供らの食べるものをちょっと味見してみたり.

しかし晴天の汗ばむほどの陽気のした,人だかりにまみれているのもわるくないものである.




帰り道,駅の北側を走るポートラムに,艦娘じゃなくて,鉄道むすめが大書してある:






夕方,自転車のLEDライト(白色LED3球内蔵)のうち一つを,イルミネーション型のものに換えてみた.右端がイルミネーション型のもの,真ん中と左は従来どおりの白色LED.イルミネーション型は,数十秒ごとに色が変わる.点けてみると,色によってかなり光軸が上下するのだった.使ったのは,イルミネーションLED OSTB5131A-ID (リンクは秋月電子)というもの.


2013年9月27日金曜日

amsalphaでの文献表にURLを表示させる

個人用の数学メモをLaTeXで作成していて,文献は別に文献ファイルをbibtexで作成している.論文,書籍の書誌情報は,MathSciNetからbibtex形式でダウンロードできる.

メモの参照文献一覧は,amsalphaの形式にしているが,不満はURLが表示されないことである.DOIのURLが表示されれば,dviファイル(やPDFファイル)のURLをクリックすると当該論文にアクセスできて便利である.

次のようにすれば良い.手っ取り早く,amsalpha.bstを書き換え(追記し)てしまうことにする.

以下末尾までを例えば zz.txt というファイルに書き込み,amsalpha.bst と同じディレクトリに置いて,

> cp amsalpha.bst amsalpha.bst.bak # 念の為バックアップを作る
> patch < zz.txt

とする(行頭の > はプロンプトのつもり.ドルマークにするとMathJaxが処理してしまうので).これで amsalpha.bst が書き換えられたので,後はいつもどおりに platex, pbibtex で文書を作成すれば良い.bibtexのデータにurlがあれば,それが参考文献欄に印字されるはずである.

DOIを経由して論文雑誌にアクセスする以外に,例えば arXiv から入手したプレプリントならそのURLを,あるいは,Dropbox においたファイルならばそのファイルのURLを貼るなど(DropboxのFAQ「リンクの取得」を参照),応用があると思う.

追記(2013/09/28):

  • 前提として,プリアンブルでの usepackage{url} が必要です
  • ほとんど同じ修正を施した,amsplain-url.bst というファイルが公開されているようです


*** /usr/share/texlive/texmf-dist/bibtex/bst/amscls/amsalpha.bst        2009-09-11 02:11:21.000000000 +0900
--- ./amsalpha.bst      2013-09-27 17:47:45.000000000 +0900
***************
*** 106,111 ****
--- 106,112 ----
      series
      title
      type
+     url
      volume
      year
    }
***************
*** 728,733 ****
--- 729,745 ----
    " \cite{" * crossref * "}" *
  }

+ %% format.url
+ FUNCTION {format.url}
+ { url empty$
+     { "" }
+     {
+       "\url{" url * "}" *
+     }
+   if$
+ }
+
+
  %%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

  % The main functions for each entry type.
***************
*** 750,755 ****
--- 762,768 ----
    if$
    format.language *
    note output
+   format.url output
    fin.entry
  }

***************
*** 777,782 ****
--- 790,796 ----
    format.date "year" output.check
    format.language *
    note output
+   format.url output
    fin.entry
  }

***************
*** 788,793 ****
--- 802,808 ----
    address output
    format.date output
    note output
+   format.url output
    fin.entry
  }

***************
*** 817,822 ****
--- 832,838 ----
    format.date "year" output.check
    format.language *
    note output
+   format.url output
    fin.entry
  }

***************
*** 838,843 ****
--- 854,860 ----
    note output
    format.book.pages output
    format.language *
+   format.url output
    fin.entry
  }

***************
*** 858,863 ****
--- 875,881 ----
    note output
    format.book.pages output
    format.language *
+   format.url output
    fin.entry
  }

***************
*** 889,894 ****
--- 907,913 ----

2013年9月16日月曜日

ミニSL

敬老の日でお休みの月曜,台風が各地に大きな被害をもたらしたようだ.被害に遭われた方々にはお見舞い申し上げます.当地でも雨風が強かった.身の回りでは特にかわったことはなし.

昨日日曜日,クロスランドおやべでのミニSL乗車会へ家族で出かけた.毎年今頃開催で,行きたいなぁと思っていたのだが,暑かったり子供が風邪を引いたりで,ようやく実現した.

常設の軌道の他に,広い芝生を一周するループ線が仮設されて,また車両も様々なオーナーさんたちが持ち寄った,電車,蒸気機関車,現行の特急やポートラムまで実に多様でありました.

公園には大きな遊具も,変わり種の自転車もあって,子供たちも私も十二分に楽しめました.

庭にミニSLを走らせたりしたいけど,それにはまずミステリ小説でも書いて一山当てないといけませんね.








庭煙鉄道趣味 庭蒸気が走る毎日
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2013年7月30日火曜日

40年

午前中は学内某所に潜伏して文献読み.さすがに試験週間中は混雑する.

周りを見回すと,試験勉強に打ち込む人,そのはずが談笑・スマートフォンいじりになっている人などいろいろ.キッテルの固体物理学を開いたまま固まっている人もいたりして,たぶん固体になりきっているんだろう(駄洒落).

昼食を挟んで,午後はM1ゼミ.Ireland-Rosenの11章は終わらず,対角型超曲面のゼータ関数を計算するところまで.本文中に,Weil予想は1973年にDeligneによって解決,とある.論文Weil I (リンクはNUMDAM)は1974年刊行だが,確かに投稿は1973年の9月だった.40年経っているのか.

M1ゼミはいつもより少し早めに終わったので,昨日実施の期末試験の採点をすべき,と分かってはいたのだが,自分の文献読みを進めてしまった.

2013年7月29日月曜日

期末試験

月曜1限1年生向けの線型代数は,期末試験.土砂降りだが,だからといってどうすることもできない.粛々と試験を実施する.

昼休みに会議が入っていたのを忘れそうになる.終わって遅めの昼食.引き続きM2ゼミ.論文購読が難航している.

終日雨脚が強く,帰りに電車の中から見た神通川にも,濁った水がいつにない水かさでどうどうと流れていた.

電車の行き帰りで,堀越二郎,「零戦 その誕生と栄光の記録 (講談社文庫)」を読了.

「アイデアというものは,その時代の専門知識や傾向を越えた,新しい着想でなくてはならない.そして,その実施は人より早くなければならない.」

「いま目の前に見ている世界の一流品を目標にして,それに近づくための演習に終わってしまい,これを抜くことができなくなるおそれがあるのである」(同書No. 2646付近)

などなど,まさに頂門の一針.

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2013年7月24日水曜日

線型

朝からざぁざぁ降り.

午前中は学内某所に潜んで文献読みをする.期末試験前はごった返すのだが,空模様のせいか,今日はそれほどでもなかった.

昼食時に居室にいると,線型代数の受講者が,「質問いいですか」と来室.応じると,「微積なんですけど……」「……」.持参の教科書は齋藤正彦先生の「微分積分学」で,奇しくも,線型代数・微積の両方で齋藤先生の本を使っているらしかった.更に別の来訪があったが,昼食後にしてもらう.

山口大の数学科の試験問題が斬新だという話が聞こえてきて驚く.シラバスが公開されているので,どの授業か見当をつけるのも難しくなく,なかなか楽しいご時世である.



2013年7月23日火曜日

禁じられた素数

火曜日午前は,自分のゼミの院生向けに雑談ゼミ.大分前に用意したノートで,ろくにおさらいせずに話し出したら,ずいぶんと見苦しい様子になってしまった.大いに反省せねば.

昼食を挟んでM1ゼミ.Ireland-Rosenで,合同ゼータ函数の話.代数幾何の言葉遣いをできるだけ素朴な範囲にとどめているので,かえって深読みが必要な感じがする.また,有限体の拡大の取り扱いが,素体上の拡大の場合と,有限体上の拡大との場合とで分けて書いてある.初学者への配慮かもしれないが,後者を論じるときに,「素体の拡大のときと同様の議論で」が頻出する.しかし大過なく終了.

違法素数」(リンクはWikipedia)というものがあるらしい.どんなデータもビット列にして(0だけの並びではないとして),それを自然数の2進表記だと思えば,その自然数を法として1余る素数が存在する.つまり,何らかのデータを違法だとするなら,自動的に違法な素数が1つ生み出されることになる.素数表の単純所持が禁じられる日がくるだろうか?

2013年7月22日月曜日

線型代数最終回

月曜1限1年生向けの線型代数もいよいよ大詰め.今日が講義最終回で,次回は期末試験だ.連立一次方程式の解の一般形を導く.例年の観察によると,基本変形ができない人はほとんどいないが,解に自由度がある場合に一般形を書き下せない,という人が一定数出る.このことを4回くらい繰り返して念を押した.

本学でもご多分に漏れず,授業評価アンケートというものがあるので,配布して記入していただく.以前,担当教員名に同僚の名前が書かれていたことがあって,間違いを防ぐために(最終回だが)あらためて名乗る.講義が終わって,回収したアンケートを眺めていて驚く.



午後はM2ゼミ.

2013年7月4日木曜日

木曜日はセミナ

不安定な天候,気温が高く風が強く,時折雨がざぁっと降る.少し遅めに出勤.

外に持ち出すラップトップに,lubuntuを入れてみる.VMWare上の仮想マシンを新たに作って,ダウンロードしたインストーラーのイメージファイルをマウントして,聞かれるがままにクリックするだけ.簡単である.少しカタカナが多いが.

TeX, emacsなど生活環境を整えつつ昼食.少し前に,USB接続のモデム(Emobileのもの)を制御するためのソフトを更新したのだが,パスワードなどが飛んでしまい接続できなくなってしまっていた.今日は金沢でのセミナだが,ラップトップは居室に置き去りにする.

外に出ると強烈な蒸し暑さ.日射しは少ないが,熱風が吹いている.高速バスに乗り込む少し前から突然の驟雨.

今日は,基礎体を有理数体の $q$ 次巡回体と指定して,その上に,位数が $p^3$ ($p, q$ は奇素数)の群をGalois群に持つような不分岐拡大を構成する,大変明晰なお話だった.そういった拡大のGalois群として現れる謎の群たちも活躍する.pari-gpでの数値計算もあって,個人的にはそこもワクワクする.

帰りのバスの中で計算の追試をしたいところだが,あいにくと置き去りにしてしまっていた.小雨のぱらつく中を帰宅.

2013年7月2日火曜日

ゼミゼミ

午前中の雑談セミナ(私が話す)は,昨日のゼミをスピーカ氏の都合で延期にしたM2ゼミに振りかえる.群論の復習で,冪零群の特徴付けなど.

昼食を挟んで,午後はM1ゼミ.スピーカ氏の都合で通常より30分遅らせて開始.Ireland-RosenのA Classical Introduction to Modern Number Theory (Graduate Texts in Mathematics)で,Chevalley-Warningの定理.これはSerreのA Course in Arithmetic (Graduate Texts in Mathematics)でも最初の章の§2で論じられている.

終了後,図書室で文献を眺めて,コピーをサボってオンラインで検索しているうちに帰る時間になった.最近は,arXivや著者のウェブページなどで(多くの場合)論文がPDFで手に入り,タブレット端末に保存して常時参照できる.ありがたいかぎりである.


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2013年6月29日土曜日

ハイキング

久々にハイキング.子連れで,3家族合同の催しである.ハイキングコースとして人気のある大辻山へ出かけた.

上の子は,他のご家族のお子さんたちにも影響されてか,元気よく登っていった.しかし下の子には,まだ体の寸法的に早かったようだ.所々でパパエレベータの出動が必要になる.

文句も言わず歩いていたが,ペースを考えると無理がある.私と二人で,先に下山することにした.下山の際も,パパクレーンで一気につり降ろすことが何回かあった.

ちょくちょく小休止をとって,のんびりと降りてくる:


山頂まで行ったパーティを待つ間は,葉っぱで遊ぶ.形の違う葉っぱの並び方を覚えるゲームとか,変装とか.



われわれが下山して30~40分ほどで山頂組と合流した.

2013年6月26日水曜日

採点しているときというのは

所用で遅めに出勤.雨.

職場では,今月いっぱいは空調が使えない見通しである.窓もドアも全開にして過ごしているので,目隠しにのれんを下げてみた:


なかなかに良い感じである.

昼食後,こんどは業者さんらが,窓に網戸を入れる工事の下見に来訪された.什器類の配置のせいで,採寸にすこし手こずっておられたが,間もなく終了.

午後は,月曜日に実施した中間試験の採点をしていた.意図したように,できは良いので安心した.

採点しているときというのは,ゼミで発表を聞いているときと似た頭の使い方をしている.試験の解答が,ゼミでの発表のようなものである.こちらは,うん,うん,と頷きながら聞いていて,発表者が変なことを言うと(解答者が変なことを書くと),「なんで?」となるわけである.試験の答案では追加の説明はしてもらえないので,説明が不十分・間違っていれば相応に減点する.


夕方,抜け出しておやつを食べつつ,別の,査読のようなお仕事.小雨の中を帰る.

2013年6月24日月曜日

二重虹

1限目の線型代数は中間試験.かなり易しめ,教科書にある問題ほぼそのまま,問題数も少なめ,にしたが,みな熱心に取り組んでいて時間間際まで手を休める様子もない.

終わって,お仕事のメールを書くなどしているうちに昼食の時間.正午から会議があるので,その前に10分ほどで済ませる.そして会議が終わるとM2ゼミ.何故か群論の復習になっているが,やむを得ない.

途中,スピーカ氏の都合で1時間ほど中断したので,その合間に更にメールを書くなど.

夕方,傾いた日射しを背にしていると,高くかかった虹を見た.しばらくして更に陽が低い位置に来たら,副虹(二重の虹)も見える.


携帯電話で慌てて撮ったのでまったく不鮮明だ.内側が主虹,外側が副虹.主虹では外側に赤がくるが,副虹では赤が内側になる.どうしてなのか,わたし気になります!と言う方には,「これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義」をお勧めします.

帰宅してみると,玄関でサボテンが花を咲かせていた.



2013年6月16日日曜日

地位と沽券

蒸し暑い晴天.

午後早い時間まで,子供関連の催し物があってそちらにつきあう.帰宅して,うっかりごろ寝してしまう.体調不良の原因になりがちなので,しないようにしているのだが…….

父の日だからと言うので,子供が「肩たたき券」の類をプレゼントしてくれた.種類も枚数も多いので面白かったのだが,よく見ると,「ティッシュ取ってあげる券」,「リモコン取ってあげる券」,「トイレゆずってあげる券」など,むしろ父親の地位と沽券に関して,あらためて話し合うべきではないかと思わされた.

2013年6月15日土曜日

2球で十分ですよ

子供らが順にインフルエンザにかかって,今週を概括すると,「インフル」ということになりそうだ.私たちがかからないよう気をつけたいが,睡眠を多めに取るくらいしか対策がない.

久々に雨.小降りになった夕方,家電量販店でLED電球を買ってきた.「パナソニック LED電球 6.4W 電球色相当 LDA6LHE17BHS」.埋め込みダウンライトのクリプトン球が,この時期になるとじりじりと熱いのだ.LED電球への交換を毎年考えはしたものの値段で躊躇していた.今年は思い切って,4つのうち2つをLED電球に交換,2つは減灯である.

結果として,2球でも十分な光量があり,また頭がじりじりとするような熱もまったく感じられなくなり,大成功だった.お勧め.

但し,照明器具をよく確認しておくこと.口金のサイズ,(相当)ワット数はもちろんだが,照明器具の周りに断熱材が施工してあるタイプのものだと,それに対応したLED電球が必要である.また,電球を斜めに装着するタイプの照明器具だと,通常のLED電球では明るさが十分と感じられないこともある.光の出る向きをある程度調整できる製品もある.今回購入したものはこれら(断熱材施工器具対応・斜め取り付け専用)に該当する.

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2013年6月13日木曜日

遁走

昨日今日と30℃越えが続いて,だいぶ堪える.この前雨が降ったのはいつだろうと,tenki.jp の過去天気を見てみると,5月11日(土)らしい……あれ?5月28日(火)に小雨にふられてはいる.

所用ですこし遅めに出勤,学内某所に潜伏してみるがあまり捗らない.昼食を挟んで,午後も遁走.居室は空調が入らないので,特に西日の当たる午後遅い時間は,身の置き所がない.


2013年6月11日火曜日

有理

蒸し暑い日が続く.

午前中は,修士のゼミ生対象に,雑談のような講義のようなという催しの何回か目.ゼミで読んでいるテキスト以外に,こんな事も知っておいて欲しいなぁ,という話題をちらつかせて,あわよくば自ら勉強してもらおう,という趣旨である.しかし,こちらがあまり気負ってもしょうがないので,半ば自分の備忘のため,忘れかけている記憶を賦活するため,の時間でもある.

昼食を挟んで,午後はM1ゼミ.Ireland-Rosenの本で9章の本文まで一応終了.Rational biquadratic reciprocityは,つまりなんなんだぜという第一印象なのが当然と思われるが,E. Lehmerの論説 Rational Reciprocity Laws が手短で読みやすい.

普段書き物は万年筆でしているが,湿気のせいかインクの乾きがわるくなってきたような気がする.吸い取り紙をセットして使う,「コレクト・ブロッターABS樹脂・P-209-GYグレ」を買ってみた.さっそく子供らのおもちゃになっている.

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2013年6月10日月曜日

フル

月曜1限の線型代数,行列の演算,特に積の性質など.それ自身はなんと言うこともない.受講生の皆さんには,一般サイズの行列の演算の性質(積の結合法則とか,分配法則とか)の証明を書いてみる,と言う練習をしてもらう.

午後のM2ゼミはスピーカ氏の都合でキャンセルになったので,調べ物をしたりメールを書いたり.メールを書くのも,ぜんぜん自明じゃない仕事である.

家庭内にインフルエンザが発生してしまった.冬を乗り切って,なぜ,いま.

2013年5月28日火曜日

まずぐぐる

午前中はM2ゼミ.教科書を卒業して,論文・論説に取りかかってみたが,いろいろと前途遼遠という印象だった.さしあたり必要になるであろう論文を集めに出かけて,文献の探し方をレクチャーしたり,見つけたものをダウンロードして整理したりする.

探し方と言っても,手持ちの文献の文献表を見つつ,「まずぐぐる」,「隣のタブでMathSciNet」とか,かなりイージーである.

文献と言えば,Elsevierへのボイコットがあったのは去年の2月頃である.最近のGowersのblogの記事「Elsevier journals: has anything changed?」に依れば,JNTのあるエディターが辞任したそうである.詳細については同記事を読んでいただきたい.

昼食を挟んで,午後はM1ゼミ.Ireland-Rosenの本で,4乗剰余記号の相互法則の証明を読む.相互法則を証明したら,ではガウスの整数環の,ノルムが $100$ 以下の素元 $\lambda$, $\mu$ に対して,$(\lambda/\mu)_4$ を計算しましょう,計算ドリル!という宿題を出そうと思っていたけど,終わったらくたびれていて出し忘れた.

夕方から小雨がぱらつきだして,じめじめするけど体が冷える感じ.帰宅してすぐに風呂に入った.

2013年5月27日月曜日

手紙だと思って

月曜日の1限の線型代数.2次元の場合の行列式,3次元の場合の外積,そして3次元の平行体の体積あたりまで,その他の話題.

小テストの解答の仕方について,ふつうの日本語を書くように,つまり,何がどうしたのか,その理由は何なのか,等々が読み取れるように書きましょう,答案を読む人への手紙だと思って書きましょう,というようなお話をした.

数学についての日本語を書くに当たっては,結城浩さんの「数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)」をお勧めする,という話もしたが,上のようなことならむしろ,数学ガールの秘密のノート第3回,連立方程式のアピール,のほうが近かったかもしれない.

さらに,同氏の「数学ガール (数学ガールシリーズ 1)」とその一連の続巻も,本格的な数学の本である事,また,ちくま学芸文庫は,数学や物理の本格的な本がたくさん揃っている不思議なシリーズなので,それぞれ見かけたらぜひ手に取ってみるように,と勧めておいた.

終わって,小テストをソートして出欠を集計するところまで済ませて,学内のカフェに脱出した.居室は蒸し暑いが,ここなら空調が効いているのである.ちょっと数値計算の続きをする.

午後のM2ゼミは,スピーカ氏の都合で翌日へ延期されたので,さらに自分の仕事の続き.


数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫)
結城 浩
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2013年5月25日土曜日

連続する冪剰余の列

金,土と,木曜日の金沢でのセミナで聞いた話を数値的に追試していた.$p$ を $3$ で割って $1$ 余る素数としたときに,法 $p$ で $0$ でない元の代表系 $R = \{1,\dots, p-1\}$ の中に,$3$ 乗剰余(つまり,$a\in R$ で,$x^3 = a \pmod{p}$ となる $x\in R$ が存在するような $a$)の連続列がどのくらい存在するかを考えるのである.

例えば,$p = 1009$ とすると,$\{182, 183, \dots, 186\}$ の5つが連続した $3$ 乗剰余であり,これを,$3$ 乗剰余の長さ $5$ の連続列と言っている.同様に $\{823, \dots, 827 \}$ も5つの連続した $3$ 乗剰余である.長さが5の列はこの2つしかない.長さが6かそれより大きい列はない.長さが4のものは6つある(但し,長さは「丁度4」のものを考える.長さ5の列には長さ4の部分列が2つ含まれるが(つまり $\{182,\dots, 185\}$ と $\{183, \dots , 186\}$ これらは長さ4には含めない).

法 $p$ についての連続する $k$ 乗剰余についての考察はたくさんあり,指標和の評価に依るもの,自然数の彩色に関する van der Waerden の定理のように組合せ論の手法をとるもの($3$ 乗剰余で類別することは,自然数を $3$ 色に塗り分けることに相当し,連続する列というのは公差が $1$ の等差数列である),様々な先行研究があるようだ.

暑い一日だった.炎天下,側溝の泥を掻き出して麻袋(実際には化繊だが)に積めたり,汚水枡に薬液を流したりと少し家の周りのこともした.

2013年5月21日火曜日

きれ

午前中は,ゼミの院生向けに一コマお話.講義というほど堅苦しくなく,そもそも単位も出ない自主ゼミのようなもの.

昼食を挟んで,午後はM1のゼミ.Ireland-Rosen, A Classical Introduction to Modern Number Theory (Graduate Texts in Mathematics)の4乗剰余記号のあたりに入って,でも,相互法則の証明は次週に回すという.Gauss自身がこの発見について記録した論文が,邦訳されている(ガウス 数論論文集 (ちくま学芸文庫))ので,彼らに紹介しておく.

すでに蒸し暑く,夕方になると体にきれがない(朝方にあるとは主張していない).

2013年5月20日月曜日

錯覚から自らを解放するために

月曜1限1年生向けの線型代数は,3次元空間での線型変換など.具体例として,回転や射影を扱う.次回以降,3次の正方行列の行列式を扱うのだが,「数学セミナー 2013年6月号 ベクトル・行列が見せるもの」の当該特集を受講者諸君に勧めてみた.「数学セミナー」という雑誌を知っていたのは,4~5名という印象だった. 

出席を確認するのと,理解度を見るために,毎回小テストを実施する.教科書の本文中の問を,15分ほどでできるところまで解いてもらう.成績には反映させない(出席も,小テストのでき具合も).これは非常によい方法と自負している.正しいことをしゃべれば,受講者が理解する,という錯覚から自らを解放するために. 

午前の残りの時間は,小テストの集計とコメントに使う.てにをはの整った,読める文章を書いてください,というのが一番多いコメントで,これはもう判子を作りたいくらいだ.判子を作るための小さな3Dプリンタなど商品化されないだろうか.

昼食を挟んで,午後はM2ゼミ.先週の水曜日に引き続き,小野孝先生の「数論序説」の2章の終わりあたりを読む.2次体のArtin写像と,特にそのkernelの決定まで.Dirichletの算術級数定理の証明は3章以降なので,それは認めて使う.考えている2次体で分解する素数が存在することが,それで保証される.2章まで終わったので,別の文献に移ることも含め,今後の方針を話し合った.

2013年5月14日火曜日

3項Goldbach予想,双子素数

午前中,自分のゼミの院生向けに,内輪の講義.勉強するきっかけになればと思い,代数的整数論から話題を選んでざっくりとお話しするという催しを始めた.

昼食を挟んで,もう一度,今度はM2のゼミだと思ったが,連絡の行き違いで今日ではないと思っていたという.仕方ないので延期して,午後は時間ができた.

3項Goldbach予想が解決されたらしい,というので,プレプリントarXiv:1305.2897)を見てみる.今回証明された(らしい)のは,「5以上のより真に大きい奇数は,三つの素数の和である」,という主張である.もう一つの,「2以上のより真に大きい偶数は,二つの素数の和である」のほうは未解決.(2013/05/18記:「以上」は等号を含むので訂正しました).

3項Goldbach予想は,既に1937年にI. M. Vinogradovによって,「ある正の定数 $C$ が存在して,$C$ より大きい奇数は三つの素数の和である」ことが証明されていた.このときは $C$ は不明だったが,その後,$C$ がいくつにとれるか,という線で研究が進んできた.

例えば2002年には,$C = e^{3100}$ ととれることが示されていた.したがって,$e^{3100}$ 以下の奇数について(それらはとにかく有限個だから),三つの素数の和である事を示せば,3項Goldbach予想を示したことになる.問題は,$e^{3100}$ が巨大すぎることである.

今回のHelfgottの結果は,$C=10^{30}$ ととれることを示した.そして,この $C$ より小さい奇数が三つの素数の和である事は,コンピュータで個別に確かめた(2013/05/18記:個々の数に対して逐一確かめたわけではないです.H.A. Helfgott, David J. Platt, Numerical Verification of the Ternary Goldbach Conjecture up to 8.875e30, http://arxiv.org/abs/1305.3062 参照).この $C$ より大きい奇数については,三つの素数の和である事を理論的に証明した.これにより3項Goldbach予想は証明された,ということらしい.

繰り返しになるが,「2以上の偶数は,二つの素数の和である」のほうは未解決である.T. TaoのGoogle Plusへの投稿なども参照.

さて偶然ながら,同じ日に同じ解析数論で,もう一つ大きな進展があったらしい.$(3, \, 5)$, $(5, \,7)$, $(11,\, 13)$ のように,$p$ も $p+2$ も素数であるような,言い換えると,差が2であるような素数のペアを双子素数という.「双子素数は無数にある」というのは古典的な未解決問題であった.

今回アナウンスされたのは,「差が70,000,000以下の,相異なる素数のペアが無数に存在する」という結果である.こちらはプレプリントなどは公開されていないようだ.情報源としては,著名なblog "Not Even Wrong" のこの記事が挙げられる.Natureにも記事がでている.

著者のZhangは,Annals of Mathからの査読報告を上記Natureの記者に見せているそうで,それによれば "We are very happy to strongly recommend acceptance of the paper for publication in the Annals." ということらしい.


数学はとどまっていない,という有名な台詞を思い出しますね.

2013年5月7日火曜日

くしゃみ

まだ風邪が抜けきらない.ゼミ生も体調を崩したとかで,セミナーがキャンセルになる.

午前中は図書館に行ってちょっと調べ物をする.お目当てが帯出できない資料なのだ.ちょっと頭を使って,昼前に切り上げる.

ついでに,ノージック「アナーキー・国家・ユートピア―国家の正当性とその限界」など借りてみたが,貸出期間中に読みきれるか自信がない.

居室で昼食を取り,午後は書き物をする. しだいにくしゃみの間隔が狭まり,鼻をかむのに忙しくなってきたので,備蓄してあった鼻炎薬を飲んでみた.対症療法だが効果はあった.二三件来客があったほかは,平穏に過ごす.

日中,抜けるような青空だったが気温は低めに推移したようだ.

2013年5月6日月曜日

自由

牧場で風に当たりすぎたせいか,風邪気味で不調だった.自宅でおとなしくしている.

外は,風が少し強いが,日射しが強い.さっそく気温が25℃を越えて夏日になった.当地は冬には積雪があり,初夏を迎える前に夏日があり,真夏には35℃も珍しくない.これからしばらく,梅雨入りまでが良い季候である.

居間でごろごろしながら考え事をしていると,間違いではないが意味がないことをしていたことに気がついたりする.仕事柄そういうことも珍しくないのである.


森村進,自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)読了.リバタリアニズムの要約を本書冒頭から引用すると

「諸個人の経済的自由と財産権も,精神的・政治的自由も,ともに最大限尊重する思想」(同書p. 14)

ということらしい.「 経済的自由」,「個人的自由」をそれぞれ軸にとって,重視・軽視により4つの類型を作ると,前者を重視し後者を軽視するのが「保守派」,前者を軽視し後者を重視するのが「リベラル」,どちらも軽視するのが「権威主義」もしくは「人民主義」,となる.本書では,この両方を最大限尊重する「リバタリアニズム」がどのようなもので,その主張するところに従うと世の中はどのようにあるべきか,を論じている.

お祭りは,それをしたい人たちが勝手にやれば良いんじゃないの?と独りごちた経験がある人は,同感を持って読むでしょう.私は大変面白く読みました.ある種の問題集という側面もあるので,ページ数の割に,読むのに時間がかかりました.blog "The Adventures of Dr.Hara"で紹介されていたのがきっかけでした.

関係があるというわけではなく連想したのは,アメリカの銃規制反対派がテレビインタビューに,「個人が連邦政府に立ち向かうには,銃は必須だ」と答えていたことです.


自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)
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2013年5月5日日曜日

こどもの日・牧場・水族館

タイトルだけでほぼ言い尽くしているようにも思う.

連休前半は子供たちが腹を下したり熱を出したりという状態だった.せっかくの連休中だし,どこか連れて行かねばなりません,という発議が出る.

車で1時間ほどの,新川育成牧場へでかける.牛とか羊とか山羊とかウサギとかポニーとか…….青空に満開の八重桜,青々とした緑の牧場に水仙,そして真っ白に輝く僧ヶ岳が大変美しい.人間もたくさんいる.そして何をするにも行列をする.休日に行列をしに来たようなものだ.普段は線型代数を教えています.

子供がポニーに乗りたいというので応じる.手綱を引いてもらって,空き地を一周するのである.感想は,高い!ということだった.ポニーの背中でも,確かに目線は2メートルくらいにはなりそうである.親も同じ感想を持ったが,意味は違うのだが,それはよいことにしておこう.

昼食を挟んで,こんどは魚津水族館へ.今年度からリニューアルオープンしたのだそうだ.こぢんまりとしているが,今回は牧場で遊んだ後だったので,丁度良い規模だった.


2013年5月2日木曜日

木一

木曜の1限にも講義をすることになり,今日が初回.「集合論」という講義名だが,しばしば「集合と位相」というタイトルがつく科目のことである.2年生向け.論理式のやさしい計算や,集合算など.しかし,最初のあたりというのは,微妙なことがいろいろとあって難しいものである.

昼食を挟んで,調子が上がらないながら,小テストの赤ペン先生をしたり(実際はブルーブラックだが),出席の集計をしたりと事務作業をする.さらに,ちょっと計算して,pari-gpで数値的に検算して,合わない.

脱線して,プログラミングに適したフォントの人気投票で一番人気の,Adobe Source Code Proをインストールしてみるが,Emacsで見ると,ぱらっとしすぎていて今ひとつな感じだった(個人の印象です).Inconsolataに戻す.

家の中に,はやりの胃腸炎だとか,はやりの風邪だのが蔓延していてる.

2013年5月1日水曜日

補充法則

時間割上は月曜日なので,月一線型代数の日.まだ平面や空間の直線,超平面のお話である.こんな進捗で…….なんとか巻き返したい.毎回言っているような気もする.

終了後の質問に応じているうちに昼休み.昼食を挟んで,M1ゼミ.Ireland-Rosenの9章,3乗剰余記号のあたりに到達した.相互法則の証明は次回に回して,補充法則の証明をフォローする.本質的な場合が演習問題(K. Williamsの論文)になっているのだが,その前の演習問題も使うので,しだいに後ずさる形になった.

肌寒い曇天の下を帰宅.

2013年4月28日日曜日

真っ白な山々

ちょっとしたお出かけの計画だったが,体調不良者が出たので予定変更.抜けるような青空に,真っ白な山々が美しい.立山は大変な人出だろう.

午前中はハウスキーピング,昼食を挟んで,午後は見守りをしつつ,文献読みなどをしていた.夕方になって少し散策.

2013年4月27日土曜日

デューラー展の図録

段ボール遊園地の催しに出かけて子供らを遊ばせる.それなりの人出で,段ボールの遊具で自由に遊べる場所には,ちびっこがわんさかいて,比喩でなく頭痛がしてくるのだった.

その後は家族とは別行動で,コーヒー豆を調達したり,古本屋に寄ったり.初めて入ったところで,棚から棚へと横歩きして楽しむ.そういえばこの本持っていたはずだけど,最近見ないな,どこやったかな,などと思うのは古書店ならでは.結局,デューラーの図録を購入.

ISBNもついておらず,展覧会の図録とは思った.帰りの車中で眺めているうちにふと気がついて確認すると,1992年に国内を巡回したデューラー展のもので,つくばに来たときに足を運んだのだった.

そのときは,16世紀の版画が20世紀の日本で見られるなんて,不思議だなぁ,という感慨を持ったものだが,更に20年程が経過して,そのとき買わなかった図録を手にするとは,本当に面白いものである.


2013年4月26日金曜日

荒天

夕べ,口にはうまいが体に悪い水を飲んだせいか(そのせいで眠りが浅かったせいか),意気の上がらぬ日中を過ごす.あられが降ったりする荒天で,肌寒い.

出席の集計など,できることをしているうちに夕刻になり,冷たい雨の中を帰途につく.市電が混雑していて2本見送る.

2013年4月25日木曜日

木曜はセミナ:今年度初回・GGC

例によって午前中は学内某所に身を潜めていた.

昼食後,北陸数論セミナの初回に移動するタイミングをはかる.今日はいつもより開始が1時間早い.16時のバスに乗りこみ,日差しが傾いだ中を,金沢へ移動.

虚Abel体のGGC(一般化Greenberg予想)についてのご講演を大変興味深く聴講した.その後の懇親の宴を楽しんで,年度の変わり目につきもの,異動の話を聞いたりして,いつものバスで帰宅.

2013年4月24日水曜日

面談

作文の宿題を提出し,強い風の中をよろよろと出勤.

午後は,助言教員との面談日(学期毎に1度ずつ設定されている.1年生は先週済んでいるので,今日は2,3年生)の為,居室で待機する.三々五々やってくる学生諸君に昨今の様子など伺う.

自分は彼らぐらいの時に,何を考えていたのか.思い出せない……のだが,実は断片的に記録を残していて,それを見てみると:1990年4月20日に,3年生になった私は体育の授業のクラス分けに出たり(体操トレーニング,めいめいマシントレーニングをするという不思議な授業だった),丸善で友人と会って立ち話をしたり,そのまま友人らとのゼミの打ち合わせに行ったり(浅枝,有馬「ベクトル場と電磁場」),解析の演習,専門外国語の授業などに出ている.

演習も外国語も,授業で使うプリントを配布して解散になっていて,のどかな時代であったことよ.そして夜は,打ち合わせをした友人らとのゼミをさっそく開催している.会場は自分の部屋,とあるので,一ノ矢の宿舎で開いたのだろう.

次に記録が残っているのは同年5月1日.遅い昼食を取った後,「そのまま帰省することを決心する」などとあり,実家に連絡も取らず上野から18時20分の新幹線に乗ったようだ.帰省の車中で,漱石の「明暗」を読んでいたとある.そういえば,そんなに面白いとは思わず,むしろ義務感のようなものの方が勝っていたことを覚えている.

そういう学生がいま面談に来たらなんと言うだろうか.まぁ楽しそうで良いですね,といったところだろうが,確かにそんなふうではあった.

2013年4月23日火曜日

牧歌的

午前中は学内某所に潜伏して文献読みなど.まだ学期がはじまって間もないせいか,どこも混雑している.

昼食を挟んで,午後はM1ゼミ.Ireland-Rosenの本で,cubic residueの話に入る.今日はスピーカ氏の都合で,Eisenstein整数の環のあたりまでやって早めに仕舞い.来週もゼミをやるというので,「もちろん」とにこやかに答えた.来週の水曜は月曜の時間割でもあり,連休の谷間だからどうこうという牧歌的な時代は遙か昔のこととなったのだ.

所用を済ませて帰宅.夜は作文の宿題を済ませるべくキーボードをたたく.BGMは,夕べDeutsche Grammophonから購入した,Années de pèlerinage(リストの「巡礼の年」第1年から第3年までの3枚組).AmazonでもMP3が購入できるが(リスト:《巡礼の年》全曲),DGからだとFLACも選べる(し,少し割安だった).

この録音は,村上春樹の新作「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」で作品の根底に据えられて,大変人気らしい.らしい,などと書いているが,私も早々と読了した.この作者に対しては点の辛い人が何故か多いようなのだが,私はいつもどおりに楽しめたのであった.


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