2012年9月28日金曜日

週明けから後期

ここしばらく,秋空が続き心地よい.当地では,春と秋に1週間くらいずつ,こういう快適な気候があって,あとは,暑すぎるか寒すぎる.

それぞれ1週間しかないのか,と考えるか,1週間もあるのか,と考えるかで云々,と考えることもなく,快適だなぁ,という観照のもとで過ごす.

週明けから後期が始まるので,つまりようやく夏休みが終わるので,なんとなくそちらも気にしつつ,またこの週末は,サイエンスフェスティバルが催されるので,その準備に賑わう学内を気にしつつ,文献読み.今日中に終わらないかな,と思っていたが,少し積み残した.

おせち料理の予約を勧誘するメールが来たりして,なるほど,と思う.生死事大無常迅速.

2012年9月27日木曜日

Sony PRS-T2

午後,来客対応などがありつつ,終日プログラムを書いたり,それをブラッシュアップするために数学を仕込んだり,また別の文献を読んだりと平和に過ごした.高く晴れた青空が心地よい.

帰宅すると,Sony PRS-T2が届いていた.Sonyの電子書籍端末である.端末そのもののレビューは,ITメディアの「ソニーの「Reader PRS-T2」をいち早く使ってみた」などにある.

箱を開けてみて,今まで触ってきた製品と比べて,作り込んであるなぁ,と言う印象.下の写真にあるように,電子書籍端末としてはKindle (キーボード,3G付き6インチ),Kindle DX(キーボード,3G付),楽天Koboを購入して,またタブレット端末としてはLenovoのIdeaPad A1が手元にある.どれも,梱包がこんなに作り込んではなかったような気がした.楽天Koboは一見綺麗に梱包してあるのだが,本体を取り出すのに定規か何かが必要だった(きつすぎて).

本体の他に,タッチペン,USBケーブル,保護ポーチなどが添付されている.また,クイックスタートガイドなどは紙に印刷されて添付してある.

最初にUSBケーブルで,PRS-T2とパソコンと接続する.USBメモリとして認識されて,必要なソフトウェアをそこから導入する.その後,時計あわせ,ユーザ登録,製品登録などを行うと一応使えるようになる.更に,WiFiの設定(WPSが使えるが,私はWPSのPINで登録した.AOSSは未対応).

更に,Evernoteとの連携もあり,ノートブックを選んで同期することができる.Facebookへの連携も可能なようだが,設定しようとすると画面が90°横倒しになり,「読み込み中」のまま黙り込んでしまうので,それ以上追求していない.

何冊か,お試しの電子書籍が入っている.岩明均の「ヒストリエ」第1巻や,和田竜「のぼうの城」(上)の一部など.

反応は非常にクイックで,いつも使っているKindle DXと比べないようにしたい.上々の印象で使い始めた.


一番手前がPRS-T2. 左が楽天Kobo, その下がIdeaPad A1, 奥にKindleたち.


日付の設定中.押していると数字がぱらぱらと変わり,
Eインクでもこんなに早い書き換えが可能かと感心した.



2012年9月25日火曜日

目論見

Googleが電子書籍の販売,映画のオンラインレンタル,そして端末販売(Nexus 7)を,実にさりげなく開始していて驚いた朝だった.あまりにもさりげないので,さりげなく端末を買いそうになったが,ちゃんと思いとどまった私は偉い,のではなく,楽天Koboに愛想を尽かしたときに,SonyのReaderをぽちったからだが.

それにしても,かなりこなれた価格での発売で,商売上手に感心した.今使っている「Lenovo IdeaPad Tablet A1 シリーズ 7.0型ワイドHD液晶 16GB パールホワイト 2228-3DJ」の後継機として,かなり魅力的だ.

電子書籍については,品揃えと言えるような品揃えではなく,とにかく始めました,と言う印象.Google Booksと連携してくれれば良いが.書籍の販売だけではなく,例えば書籍の一部のレンタル,などという売り方をしてはくれまいか.

秋の高い青空の下,のこのこと出勤し,昨日の続きでプログラムを書いてみたが,目論見が外れているような気が,だんだんしてくる.やってみないと分からないこともあるのだが…….

昼食を挟んで,午後は近所をさすらいながら文献読み.こちらは案外進んだので良かった.

2012年9月24日月曜日

新学期訓練

朝一から会議があり,11時過ぎまで議論.終わってから,附属図書館で不要図書の放出をやっているのを思い出し,主に雑誌・ムックの類を大量に引き受けてきた.古いもので10年,新しくても3~4年はたっているが,内容もそれほど古びていないと思う.

午後も一件来客対応があり,昼食を挟んでその支度をする.後はプログラムを書いていた.あまり思ったようには進まず.

十月に入ると後期が始まる.朝一から出動するなど,その訓練のような月曜日だった.

2012年9月21日金曜日

Kobo落ち穂拾い

昨日の,楽天KoboにWikipediaの記事がDRM付きで収録された件は,当該電子ブックが取り下げられる,という形で収拾されたらしい.「koboのストアからWikipedia作品消える 「ISBN」は「商品番号」に」(ITメディア eBook USER).迷走もはなはだしい.

連想するのは,家庭内LAN用のルータが普及しだした頃,内部のソフトウェアに,GPLのソースコードが含まれていて,しかしベンダー側がそのことに十分注意を払わなかったために,いわゆる「炎上」,という事件である.もう大分昔のことになるが…….

手元のKoboについては,とりあえずPDFや,フリーで手に入る文書類の閲覧に使うことにする.

今日は一つアルゴリズムをでっち上げたが,既存のものよりも大変遅い……すくなくとも素朴な実装では大変遅い……ことが分かった.キャッシュをうまく使うなど工夫の余地はあるとおもうが,どうかな,という印象.

2012年9月20日木曜日

Koboよさらば

楽天Koboを予約して手に入れたのが7月20日(金)頃で,そのときの記事もある.2月ほど使って,その間に3冊ほど電子ブックを買って読んだ.しかし,使うのをやめようと考えている.

8,000円を切る廉価な電子ブックリーダーとして華々しく登場したが,電子ブックというのは,読む端末だけではなく,本を探し,あるいは何となく書棚を眺めるという楽しみも再現しなくてはならない,つまり,端末はごくごく一部の要素で,サービス全体がよくこなれていなければまったく満足できない,ということがよく分かった.

現在の楽天Koboのブックストアは,サービスイン当初から言われていたように,そして未だに,検索が使い物にならず,ジャンル分けも謎で,品揃えも悪い.そもそも,オンライン書店の楽天Booksと,Koboとが分離されているのもおかしな話である.

国内市場に参入すると言われ続けて数年が経過したamazonでは,amazon.comでの書籍売り場とKindleストアが一体化されていて,紙の本のハードカバー・ペーパーバックそしてKindle版と選べるようになっている.

Koboの品揃えを改善しようとしているのか,楽天は和書をいつまでに何万冊揃えると数値目標を掲げた.ギターのタブ譜を大量に揃えたりしているらしい.Wikipediaの作家に関する項目を,一作家に付き一冊の電子ブックとして無料で提供したりもし始めた.

このWikipediaの項目を電子ブックとして提供する際に,DRM(コピー制限)を行ったことは,Wikipediaの使用許諾に反するのでは?と気がついた人たちが居た.

Wikipediaの項目は,それぞれ,GNU Free Document Licence (GFDL)もしくは,Creative Commons のうち,CC-BY-SAのいずれかのライセンスで提供される.例えば後者では

「あなたは、本作品の頒布または公共での発表にあたって、このライセンスによって付与される利用許諾受領者の権利の行使を変更または制限するような技術的保護手段を用いることはできません。」(4.制限,(a))
と規定されている. つまり,Wikipediaの記事を転載するに当たって,それにDRMを課すことは,CC-BY-SAというライセンスに反する.

この一件で,楽天Koboの使用をやめる決意をした.

丁度明日,SonyのPRS-T2が発売になるので乗り換えてみる.既に実機のレビューが公開されている.楽天Koboと,端末は非常によく似たスペックだが,始めに書いたように,電子ブック・電子書籍というのは,サービスの全体である.Sonyの電子ブック事業は,あまり派手ではなかったが長く続いている.ジャンル分けも,ざっと見る限りKoboよりまともである.

端末が届くのは月末になるようだが,楽しみだ.

2012年9月19日水曜日

正気

朝晩と涼しくなってきて快適.ノートの消費量で測ると,8月は(特にお盆前後から彼岸にかけては)低調だった……例年のことなのだが.そろそろ正気に戻りたいところ.

職場の自室と,学内のパブリックスペースを転々としながら文献読み.当たり前みたいなことで,へぇ,と思ったこと: $m$が平方因子のない自然数,$n$ は $m>n>0$ なる自然数とすると,$m$ の素因数 $p$ で,$n$ を割り切らないものがある.

2012年9月18日火曜日

abcで賑やかに

一般紙で $abc$ 予想の解決が報じられたせいか,その周辺の話題で賑やかになってきた.主張は簡単だけど,なんでそんなに騒ぎになるのか,というのはもっともな感想と思う.

Fermat予想やMordell予想のような(既に解決されている)大きな問題が従うとか,不定方程式の解の有限性が従うとか,いろいろとインパクトがあるようだが,まだ余波がどこまで届くのか,私は測りかねている.





2012年9月17日月曜日

書棚

「本と出版の未来」を考えるためのメディア,を標榜する「マガジン航」の記事,「持ち主を亡くした本はどこへ行くのか」を読んで触発されたのかどうか,久々に書棚を整理する.もう少し涼しくなってからと思っていたが(猛暑日だった).

机に向かったところから手の届く棚にある本を少し入れ替えた.床に積み上がった本も,それぞれ書棚に居場所を作る.ホコリを払って,床を磨く.

汗をぬぐいながら,書棚の本を概算する.棚あたりの冊数と棚の数から,1,000~2,000という荒い評価.冒頭の記事のよると,玄関に本が積んであるなら,蔵書数が多いと見て間違いない,らしい.自室に収まっているのだから,かわいらしいものだ,と思った.

2012年9月16日日曜日

~は短し

敬老の日と言うことで,拡大家族で昼食なのだが,いざ出かけるとなると既に昼時であり,朝話していた計画(と言うほどの計画でもなく,方針・目安のようなもの)が大幅に変更され,単に近所の蕎麦屋へ行くだけのこととなった.

そして昼時に出かけるのであるから,また待たされるのであろうと推測.案の定で,その間Koboで小説を読む.森見 登美彦 ,「夜は短し歩けよ乙女-【電子ブック版】」.若人向けだなぁ……と :) 京大近辺の地理が分かるとぐっと楽しめます.

昼食を済ませて,近所のお店を見て回り,帰宅.まだまだ暑い…….

夜は短し歩けよ乙女-【電子ブック版】
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価格:540円(税込、送料込)

2012年9月14日金曜日

冊子よさらば

朝一で私用があったほかは,静かな一日だった.しかしまだ残暑が厳しく,長時間屋外に居ようという感じではない.

粛々と調べ物・書き物.昨日になって,Mathematical Reviews(アメリカ数学会が刊行している,論文抄録誌)の紙の冊子が,今年いっぱいで廃刊,という話に気がついた.赤い表紙の電話帳のような大判の冊子で,かさばるし重いしで,オンライン版に一本化されるのだろう.

以前は,オンライン版は購読している機関内のネットワークからしか閲覧できなかった.購読申請の際に,IPアドレスを登録するのだった.少し前から,購読している機関のネットワーク内から,一度特定の頁を閲覧すると,90日間,機関のネットワーク外からでもアクセスできるような仕組み,AMS Mobile accessが導入された.

学生の頃,Math Reviewsのデータを収録したCD-ROMが購入できるようになった.SilverPlatterという会社が売っていたのだと記憶する.所属していた大学でも買ってくれていた.専用の端末に座り,CDを検索し,結果をテキストファイルとしてフロッピーに(!)保存しては悦に入っていた.

保存したデータの書式がまた不揃いだったのだが,それをLaTeXで処理できるようにPerlで整形していたのも懐かしい思い出である.

そんなことしているより,その論文を読めば?というのは,当時も言われたような気がするが,今なら自分でもそう言いたい.

2012年9月12日水曜日

N. F. Cole and E. T. Bell

昨日の投稿の落ち穂拾い.

N. F. Coleが $M_{67}$ を素因数分解した結果を発表した際の劇的な講演,元ネタはどうもE. T. Bellらしい.ベルは,「数学をつくった人びと〈1〉 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)」などの数学読み物や,組合せ論で出てくるベル数に名を残す数学者である.

私は現物を見ていないのだが,コールの講演の様子は,E. T. Bell, Mathematics: Queen and Servant of Science (Spectrum)の11.2節にあるようだ.邦訳は「数学は科学の女王にして奴隷 1 《数理を愉しむ》シリーズ (ハヤカワ文庫 NF) 」.Leo Corry, Hunting prime numbers---from Human to Electronic Computers, という記事の冒頭部分に引用がある.

ベルの書いたものは,読み物としては面白いのだが,史実として正確かというと必ずしもそうとは言えなかったりする.コールの論文(昨日リンクしたもの)やリュカの結果などとあわせて考えると,コールの劇的な講演の様子は,例によって,ベル一流の,面白い逸話,ととらえるべきと思う.Corryも,「日曜日を3年分」という台詞は,数学の都市伝説(mathematical urban legend),としている.ちなみに,ベルの指導教官はコールだった.Math Geneology projectで確認できる

なお,コールの逸話とベルとの関係は,知人にtwitterで示唆して頂いたものである.御礼申し上げます.


2012年9月11日火曜日

Cole, the 67-th Mersenne number

blog 「読書猿Classic: between / beyond readers」の記事「Three years of Sundays/史上もっとも静かなプレゼンテーション」を大変面白く読んだのだが,少し事実関係を整理したい.もしまだ同記事をお読みになっていない方は,是非ご一読頂きたい.

よろしいですか?

まず,$n$ 番目のメルセンヌ数 $M_n$ というのは,$2^n-1$ のことである($n\ge 1$).すぐに巨大になるが,素数に関連した興味深い性質がいくつもある.例えば,$M_n$ が素数ならば $n$ が素数であることが証明できる.しかし $n$ が素数だからといって,いつでも $M_n$ が素数になるわけではない.例えば$M_{11} = 2^{11} - 1 = 23\times 89$. しかし,$n$ が素数なら,$M_n$ は $n$ より大きい素因数を含むことも簡単に示され,従って大きな素数の探索にしばしば用いられる.

歴史を遡ると,メルセンヌ自身が17世紀に,$M_n$ が素数になる $n$ を小さい方から幾つか列挙したのだが,それが間違いを含んでいた.例えば彼は,$M_{67}$ は素数であるとしていた.

冒頭のブログ記事では,20世紀初頭にColeが学会で発表するまでそれが信じられていた,という調子で劇的な様子を記述しているが,それはそうではない.

リュカは既に,1891年出版の著書で,$M_{67}$が合成数であろう,と述べている(E. Lucas, Theorie des Nombres, p. 376).



しかし,その素因数分解は与えていない.

Coleは,$M_{67}$ の素因数分解,すなわち,$$M_{67} = 147573952589676412927 = 193707721 1 \times 761838257287$$を,論文 The factoring of large numbers, Bulletin of the American Mathematical Society, 10(3), 1903で与えた.冒頭のブログ記事は,その内容を講演したときのエピソードと思われる.

Coleは2つの方法を試し,一つはうまくいかず,もう一つの方で $M_{67}$ の素因数分解を得ている.つまり,$$M_{67} = \left(\frac{1}{2}(u+v)\right)^2 - \left(\frac{1}{2}(u-v)\right)^2$$と書いたときに,$(u+v)/2$の方が満たすべき合同式を,法 $67^2 \times 8 \times 5 \times 7 \times 13 \times 81$ で与えて,$$\frac{1}{2}(u+v) = 1323536760 x + 1160932384,$$ ($x$の係数が上で述べた法,)そこに適当に整数を入れていって,$x = 287$ のとき,つまり $381015982504$ が $$M_{67} = 2^{67}-1 = 381015982504^2 - 380822274783^2 = 193707721 \times 761838257287$$を満たすことから,素因数分解を得ている.

2次篩法などが開発されるのは,1980年代である.

2012年9月8日土曜日

運動会

子供の運動会だった.

プログラムを数日前に見せられて,つらつら思い返すに,結局一番多いのは待ち時間だったような気がした.ので,読みさしの文庫本を持って行く.それは案の定だった.

木立の下で,風もあってしのぎやすかったが,それにしても耐候性能が試される.最後まで見届けて,集団下校する子供らに付き添って帰る.


2012年9月7日金曜日

abc, Wieferich, Mollin-Walsh

庭木に毛虫がたかっているので何とかすべし,とのご下命を賜る.朝から殺虫剤を撒く.イラガの幼虫で,毎年恒例の行事である.なんの恨みもないけれども,浮き世の義理でご容赦願いたい.

残暑厳しい秋空の下,しずしずと書き物調べ物.

$abc$予想の帰結の一つに,Wieferich素数でない素数が無数に存在する(リンク先はJ. Silvermanの原論文だがpay wallの向こう側),というものがある.

一方,Mollin-Walshの予想というものがある.これは,3つの連続するpowerfulな自然数はないだろう,と言う予想である.powerfulな自然数$n$というのは,素因数がどれも2冪以上で入っている,つまり,$p \mid n$ ならば $p^2 \mid n$ がなりたつ自然数のこと.

もしWieferich素数でない素数が有限個で,つまり,ある $p_0$ から先の素数がすべてWieferich素数だったとする(現在まで,$17\times 10^{15}$ 以下の既知のWieferich素数は $11$, $1093$ だけなのだが).

このとき,$t = \prod_{p\le p_0} p$, $A=2^{t\varphi(t)}$, $\varphi(\cdot)$はEuler関数,とすると,$A^n -1$ が任意の $n$ に対してpowerfulであることが示され,特に(2行ぐらい議論すると $A^2-1 = (A-1)(A+1)$の因子が互いに素で,よって), $A-1, \, A, \, A+1$ がいずれもpowerfulである事が示され,よってMollin-Walshの予想に反する,という議論である.出典はA. Granville, Powerful numbers and Fermat's last theorem, 1986, リンクは原論文PDF).

$abc$予想とMollin-Walshの予想の関係はよく分からないらしい.

2012年9月6日木曜日

abc

$abc$予想(リンクはwikipedia)の解決を含む論文(プレプリント)が公開されたというニュースが,あちこちのblogで取り上げられている.


などなど.プレプリントはだれでも見られる(リンク先の,末尾近く,連作のIV番目)が,大理論を新規に構築し,その帰結としての結果なので読んですぐ分かるものでもない.検証には時間がかかるだろう.

$abc$予想の一般化から,2次体の$L$関数のSiegel零点についての情報が得られるらしい(abc予想の一般化から,虚2次体の指標に付随する$L$関数のSiegel零点の非存在が導かれる,Granville and Stark,PDF, らしいです).

久賀道郎先生の文章によると,DeligneがWeil予想を解決したときも,「要するに皆かなり,オタオタしたのです.」 (久賀道郎,「喜べ,泣け,リーマン・ヴェイユ予想が解決した」,ドクトル・クーガーの数学講座〈1〉所収).

とりあえず歌でも聴いて落ち着こう.



2012年9月5日水曜日

周回

机の端に転がっていたUSBのメモリーを使おうとして,なぜかドライバがありません,と拒絶された.ちょっとびっくりして,別のパソコンで試すと無問題.どちらもWindowsだが,前者はWindows 7, 後者はXPだった.指紋を登録して安全に使える,と言うのがポイントなのだが,機械を選ぶようだと使いづらい…….

昼食,会議を挟んで,夕方は書き物や文献読み.まだ残暑が厳しいが,盛夏の頃の身の置き所のないような暑さではない.そして日が落ちるのが早くなった.地球は黙々と太陽の周りを回っている.

瀬名秀明の,「BRAIN VALLEY〈上〉 (新潮文庫)」では,ライフゲームの人工生命が文化を持つようになり,原始的な「弔い」をするようになる.それは,寿命を迎えつつある個体の周りに集まり,何もしない,のである.個体を維持するためにエネルギー源を探すのでもなく,子孫を残すための活動をするのでもなく,自らの寿命の幾ばくかを無為にすることが弔いだ,と言うのである.

特にオチはありません.

2012年9月2日日曜日

555

午前中から妙に人口密度(子供密度)が上がっているので,自室へ退散.しかし特に何かが進むわけでもない.

昼食・昼寝を挟んで,午後は何をしていたのだろうか.散髪したのは痕跡があるので間違いない.例によって,自らの頭にバリカンをあてがった.

NE555というタイマーICがあって,これは私が子供の頃に既に定番中の定番の一つだった.よく使われるのは,8pinのもの.ICだから木になったり畑で取れたりするものではない.誰かが設計したのである.

555の設計者がハンス・カーメンチント(Hans Camenzind)であり,私はその名を,訃報とともに知った.


動画は,555の使用例の一つ,非安定動作(astable operation).LEDが点滅し,同時に圧電ブザーからぶつぶつ音が出る.実装がごちゃついているのはお見逃しを.綺麗な実装例は,武蔵野電波にあります.

2012年9月1日土曜日

ランプシェード

書店へ行くつもりで出かけると,「2012とやまの匠ものづくりフェア」に出くわす.県の,職業能力開発関連部署の肝いりで,様々な組織が出店している.

電気電子工作の展示に目が行く.ライントレーサは,H8マイコンボードに,モータの制御はTA7291P,シャーシは田宮の……などと詮索する.金工は手が出ないので,あこがれる.

展示だけではなく,その場での制作体験コーナーも幾つかあった.子供が,和紙で作るランプシェード制作をしてみたいというのでつきあう.風船に和紙を貼り付けたものが用意してあって,そこに色紙などを貼り付け,更にもう一層,和紙を貼り付ける,というもの.子供は暑い中,汗だくになって一心に和紙を貼り付けていた.

昨日が,マリア・モンテッソーリの誕生日だったそうで(リンクはWikipedia)Google Doodleもそれにちなんだものになっていた.Google創業者がモンテッソーリ教育を受けているらしい.少し興味が湧いたので,この教育について書いたものを卒読.それもあって,子供が夢中になってやるなら,意味があるのだろうと,見守っていた.

数日して糊が乾燥したら,風船を割って取り出せば,楕円体状のランプシェードになるという.中に入れる光源は,お父さんが作ってあげて下さい,と,突如夏休みの宿題を出された.


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