2012年4月18日水曜日

mod 4で1の素数は2平方数の和(2)

さて,昨日使った事実

「素数$p\equiv1\pmod{4}$について,ある$0< m< p$が存在して,ある整数$x$について$1+x^2=pm$が成立」
の証明を与える.まず$\{1^2,\, 2^2,\, \dots, ((p-1)/2)^2\}$の法$p$での剰余類が,法$p$の既約剰余類のうち,平方剰余であるものを尽くしていることに注意する.つまり,これらのあいだに(法$p$で)等しいものはなく,また平方剰余な元と平方非剰余な元とは同数$(p-1)/2$個あるのだった.

一方で,$p\equiv1\pmod{4}$なら$-1$が平方剰余である(平方剰余記号の第一補充法則.つまり,法$p$の原始根$g$を取れば$g^{(p-1)/4)}$が$1$の原始4乗根を与え,よって$-1$は平方剰余である).よってある正整数$m$が存在して,
\[
 1+x^2=pm\quad(\exists x\in\{1,\,2,\,\dots,(p-1)/2\}).
\]
すると
\[
pm = 1+x^2 \le 1+\left(\frac{p}{2}\right)^2 \le p^2
\]
なので$m\lt p$である.

こういった話をするときに,どこまでの知識を仮定するのかをはっきりさせておいた方が良いかもしれない.素数を法とする原始根の存在と,冪剰余の定義,特に平方剰余と平方剰余記号の相互法則くらいまでだろうか.小野孝先生の「数論序説」1章から,連分数に関する事項を除いたくらいである.(群環体の基本的な言葉遣いは含む).あるいは,中島匠一先生の「代数と数論の基礎 (共立講座21世紀の数学)」のやはり1章であろうか.

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