2008年3月21日金曜日

Lemniscata geometrice in quinque partes dividitur

1797年3月21日、Gaussはレムニスケートを幾何学的に(コンパスと定規のみで)五等分することができることを発見した。

Lemniscateというのは、二定点からの距離の積が一定である点の軌跡として定義される閉曲線。たとえば、Weisstein, Eric W. "Lemniscate." From MathWorld--A Wolfram Web Resource, など参照されたい。

前年1796年3月30日起床するときに円の幾何的な17等分法を思いついたというのは有名な話。それから約1年で、当時20才の青年Gaussは楕円関数の端緒に到達していたわけだ。しかしGaussはこの仕事を公刊することはついに無く、ガウス 整数論 (数学史叢書)の円周等分の章(7章)の冒頭でほのめかしたのみだった。AbelやJacobiがこの記述に触発され、やく30年後に独自に楕円関数論を展開した。

この辺の話は、先日の記事でも触れた、近世数学史談・数学雑談に述べられている。更に、河田敬義、「ガウスの楕円関数論」、上智大学数学講究録24は、史談のうちガウスの楕円関数論に関するところを、数学的に詳述したもの。一般の書店では手に入らないが、マテマティカ友燐社で手に入る(日本数学会の実施期間中なら会場にお店を出している)。

3/21は勤務先の数学科の卒業謝恩会があり、一言挨拶を求められて上のような史実を紹介した。このようにめでたい日に卒業できる皆さんは幸せです、というようなことを述べたが、どのくらい通じたか不明。


0 件のコメント: